ホワイトニング用の歯磨き粉で本当に歯は白くなるの?

Smiling young woman. Cosmetological teeth whitening in a dental clinic. selection of the tone of the implant tooth.

「歯の黄ばみがコンプレックス・・・」

「ホワイトニングに興味はあるけど,手軽なものから始めたい」

テレビCMや広告など,メディアでホワイトニング用歯磨き粉について耳にしたことがある方は多いと思います。一見,歯を白くして笑顔に自信を持たせてくれそうな効果が期待できそうですが,実際にはどれほどの効果があるのでしょうか?また,より効果的な使い方などはあるのでしょうか?

この記事では,「歯の黄ばみ・歯の着色を改善したい」「歯磨き粉で手軽にホワイトニングしたい」という方に向けて,歯の着色の原因,ホワイトニング用歯磨き粉の成分や実際の効果,ホワイトニング用歯磨き粉の効果的な使い方について,歯科医師が解説していきます。

はじめに

美しい白い歯は,古くから健康的な笑顔の象徴ともされており,白い歯を手に入れることで自信を高めることも可能です。しかし,逆に歯についてのコンプレックスを抱えていると,人前で口元を隠す癖がついたり,笑顔を作ることに抵抗を感じることもあります。

ある調査では,20代の女性のうち約90%以上が歯にコンプレックスを抱えており,その中でも「歯並び」よりも「歯の黄ばみ・着色」を気にしていると回答した人が最も多いと言われています。

歯を白くするために,様々な方法が試されてきました。その中でも,ホワイトニング用歯磨き粉は手軽な方法として幅広く知られており,市場にはさまざまな商品が登場しています。テレビや広告で目にしたことがある方も多いかもしれませんね。
しかしながら,気になるのはホワイトニング用歯磨き粉実際の効果です。果たして,歯科医院で行う医療ホワイトニングに匹敵する効果があるのでしょうか?

ホワイトニング用歯磨き粉の詳細な説明の前に,まずは歯の着色の原因について解説していきます。

歯の変色のメカニズムと原因

歯の変色は多くの要因によって引き起こされますが,これらの要因は「外的要因」と「内的要因」に分類されます。これらのメカニズムを理解することで、着色に対する対策を考えることができ,ホワイトニング用歯磨剤の効果や限界を理解する手助けとなります。

外的要因

外的要因は主に歯の表面の色素沈着のことを指します。
この色素沈着は,日常の飲食物,または習慣によって起こります。コーヒーや紅茶,ワインなどの色の濃い飲み物,カレーやソースといった色の濃い食品が主な原因として考えられており,色素成分と唾液の成分が反応することでステインと呼ばれる着色汚れとなります。さらに,タバコや不適切な口腔ケアもステインの主な要因となります。
これによって,歯のエナメル質に色素が吸着し,歯の着色や黄ばみの原因となります。

内的要因

内的要因は歯の内側の組織や構造に起因する着色です。飲食物の色素が歯の内面に沈着するだけでなく,加齢による象牙質の黄ばみや,遺伝的な要因や健康状態も歯の色に影響を与えると言われています。また虫歯や外傷によって歯の神経がダメージを受けると,局所的に歯の内側から変色が起こることもあります。

この外的要因と内的要因が組み合わさることで,歯の色に影響を与えることがあります。しかし,その組み合わせは人それぞれ異なります。だからこそ,両方の要因に対するアプローチが重要なのです。

ホワイトニング用歯磨剤の効果とは?

ホワイトニング用歯磨剤には,ホワイトニング効果のある成分が含まれており,歯の白さを引き出すと謳われています。その主要成分や効果について,詳しく見ていきましょう。

主要成分の概要と働き

研磨剤:歯の表面の汚れや着色を取り除くために使用される微粒子です。

発泡剤:歯磨き粉が泡立ちやすくなり,歯の表面に付着した汚れを浮かせる効果があります。

香料と甘味料:さっぱり感を向上させます。ミントや柑橘系の香りが一般的で,甘味料としてはキシリトールやソルビトールが使われています。

フッ化物:エナメル質を強化し、虫歯予防効果がある成分です。

抗菌剤:お口の中の細菌の繁殖を抑えます。薬用成分ともいわれます。

その他:歯茎の健康をサポートするビタミンやミネラル,知覚過敏抑制剤が含まれることもあります。

ホワイトニング用歯磨き粉の効果

この中で,ホワイトニング効果があると考えられるのは「研磨剤」です。

メーカーや製品によって異なりますが,「炭酸カルシウム」「ポリエチレングリコール」「シリカ」「ピロリン酸ナトリウム」「ポリリン酸ナトリウム」「酸化アルミナ」「含水ケイ酸」など,さまざまな薬剤が開発され使用されています。

主な作用は『ステインを吸着して・浮かせて・取り除く』といった効果を持つようです。

ここで注目すべきは,これらの成分は歯の表面のステインをある程度取り除く効果があるものの,歯の内面に作用する成分は含まれていないという点です。つまり,着色の内的要因にアプローチはできないということです。

また外的要因であるステインに対しても,効果は限られていると考えられています。繰り返し使用することで,歯の着色が少しずつ軽減される可能性はあるものの,即座に劇的な変化を期待することは難しく,また広範囲の頑固な着色には効果は限定的かもしれません。

さらに,粗い研磨剤が含まれた歯磨き粉を用いて強く磨きすぎてしまうと,歯の表面に微細な傷がついてしまい,逆に着色の原因となる可能性があるため,注意が必要です。

ホワイトニング用歯磨き粉の効果的な活用法

美しい白い歯を手に入れるためには,ホワイトニング用歯磨き粉など,さまざまな選択肢があります。その中で,歯科医院で行う医療ホワイトニングとホワイトニング用歯磨き粉について比較し,また継続的なケアの重要性について考えてみましょう。

医療ホワイトニングでより白い歯へ

元々の歯の色よりも白い歯を手に入れるためには,医療ホワイトニングが必要です。ホワイトニング用歯磨き粉やセルフホワイトニングでは,歯の変色の外的要因にしかアプローチできませんが,医療ホワイトニングでは歯の内部変色にも効果を発揮します。歯科医院でのみ扱える薬剤を使用することで,安全かつ効果的に白さを実感できます。

ホワイトニング用歯磨き粉で着色除去と再着色予防

ホワイトニング用歯磨き粉は,日常に取り入れやすい手軽な方法です。継続的な使用によってある程度の着色除去が期待できますが,歯科医院での処置ほどの効果はありません。着色が少ない方や,歯科医院で着色除去やホワイトニングの施術を受けた後の着色予防として使用するのが効果的です。

ホワイトニング用歯磨き粉の賢い活用法

歯磨きのタイミング

通常の歯磨きと同じタイミングで行いましょう。食後に歯磨きをすることをおすすめします。無糖であっても,特にコーヒーや紅茶など,ステインの原因となる飲食物を摂取した後には,歯磨きを行うことが着色予防に役立ちます。

適量の使用と優しい磨き方

歯磨き粉の量は指示通りに守り,歯や歯茎を傷つけないよう,軽い力で丁寧に磨くことが大切です。過度な量や圧力は逆効果になってしまいます。

定期的な使用

ホワイトニング用歯磨き粉の効果を実感したり,再着色を予防するためには,定期的な使用が必要です。毎日の使用を心がけましょう。

歯科医院での定期検診

歯科医院での定期的な検診を受けることで,自分では難しい着色の除去が可能となります。また,着色の状況や虫歯・歯周病のリスクも含めて,ご自身に合ったアドバイスや歯磨き粉の提案をしてくれるでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。今回はホワイトニング用歯磨き粉の実際について解説しました。
ホワイトニング用歯磨き粉の効果に関する意見はさまざまですが,実際には当院でも取り扱っております。ただし,歯磨き粉で着色除去を期待するというよりかは,医療ホワイトニング後の再着色予防としてご提案することがほとんどです。

白い歯を手に入れるための最適な方法や,普段お使いの歯磨き粉に関するアドバイスもおこなっております。ぜひお気軽にご相談ください。

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