「セラミック矯正は絶対やめておいた方が良いと聞くけど、本当?」
こんにちは。
名古屋市千種区にある歯医者、ちくさ池下歯科・矯正歯科 院長の河村です。
セラミック矯正とは、自分自身の歯にセラミックを装着して、歯並びを美しく整える治療法です。通常の矯正治療のように歯を動かす装置を使用しないため、『矯正』という単語は入っていますが、矯正治療とは全く別物の治療方法となります。
近年、世良美玖矯正は注目を集めており、口元にコンプレックスを抱える方の中には『セラミック矯正で口元を改善したい』と考えている方もいるでしょう。しかし、一方で通常の矯正治療にはないデメリットも存在します。そのため、治療方法を検討するうえで、セラミック矯正のデメリットや失敗について知っておくことがとても重要です。
また、このページを読んでいる方の中には、過去に受けたセラミック矯正を後悔していたり、治療が失敗したと考えていて、リカバリーを検討している方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、「セラミック矯正の失敗について詳しく知りたい」という方に向けて、セラミック矯正で起こるトラブルや、失敗の事例、後悔しやすいポイントについて歯科医師が詳しく解説していきます。
目次
セラミック矯正はどこで受けるべき?
はじめに、セラミック矯正は歯科医師にとってとても難易度の高い治療法です。
セラミックに関する詳しい知識だけでなく、歯並びや審美歯科についてや、セラミックを長期間安定させるための噛み合わせなど、幅広い知識が必要です。また技術的にも、歯を削ることに加えて、歯茎へのダメージを最小限にしたり、仮歯やセラミックの取り扱いなど、高い技術力を身につけていることも必須と言えます。さらに、一度失敗したセラミック矯正のリカバリーとなると、さらに難易度は上がると言えるでしょう。
当院では、日本補綴歯科学会専門医・日本顎関節学会専門医である院長と、日本矯正歯科学会認定医である副院長によるチーム医療で、そのような難しい症例の解決を目指しています。
セラミック矯正で後悔するポイント
セラミック矯正を行ったあとに後悔しやすいポイントについてご紹介します。セラミック矯正で失敗しないためにも、トラブルについて知ることが非常に重要です。
セラミックが割れてしまった
現在、歯科治療で使用されているセラミックはどんどん改良が進んでおり、一昔前のものと比較して格段に質が向上しています。しかし金属のように曲がる材料ではないため、強い力によって割れたり欠けてしまうことがあります。またメタルボンドと呼ばれる、フレームに金属が使用されているものだと表面のセラミックが欠けることで金属が露出してしまいます。
一度装着したセラミックを修理のために外すことはできません。小さく欠けた場合はお口の中で修正することもできますが、そのとき使用する材料が劣化したり、セラミックとの境目が目立ってしまうというリスクがあります。また大きくかけた場合は、一度全部除去して再治療が必要となることもあります。
セラミックの破損トラブルを防ぐために必要なことは、『セラミックの正しい取り扱い』『セラミックの適切な厚みを確保するように削る技術』『精度の高い型採り』『噛み合わせのコントロール』など多岐に渡るため、治療を受ける歯科医院選びが重要と言えるでしょう。
またセラミック破損のリスクが高いと判断された場合は、仮歯の期間を長くしてトラブルが起こらないかを見極めたり、セラミック装着後に夜間のマウスピースの使用をおススメすることもあります。
歯が痛い 歯茎がうずくようになった
歯の中には歯髄(しずい)と呼ばれる神経が通っていますが、セラミックの土台となる歯を削る際に歯髄にダメージが蓄積されてしまうと、歯髄炎を起こすことがあります。歯髄炎が発症すると歯がズキズキ痛む原因になってしまうため、根管治療を行って歯髄を除去する必要があります。
また、元々かぶせ物が装着されていて、根管治療が行われた歯でも、不十分な根管治療が原因となり根尖性歯周炎が発症してしまうことがあります。根尖性歯周炎が起きると、歯の根元がうずいたり、歯茎が腫れて膿が出るなどの症状が出てしまいます。解決のためには、歯科用CTなど撮影して原因となっている歯の特定をしたうえで、根管治療が必要となります。
根管治療によって歯髄を除去された歯は、根管治療を行っていない歯と比較して、歯の寿命が短くなると言われています。できるだけ歯を削る量を最小限にしたり、歯髄を温存できる治療方法を選ぶことで、このようなトラブルを避けることができます。
歯茎が下がって不揃いになった 歯の根元の黒ずみが目立つ
基本的にセラミックは表面の劣化が金属などと比較して少なく、プラークが付着しづらい材料だと言われています。しかし、セラミックとご自身の歯に隙間や段差があったり、歯の方向を無理に変えたセラミックが装着されていると、その部分の歯磨きが難しくなり、歯肉炎を発症します。歯肉炎が進行すると、歯茎が下がって不揃いな見た目になってしまいます。
歯肉炎の原因が適合の悪いセラミックである場合、いくら患者様が歯ブラシを頑張ったとしても限界があります。歯茎の状態を改善するためには、セラミックのやり直しが必要です。
段差の少ない、適合の良いセラミックを作るためには、担当歯科医師と歯科技工士の高い技術が不可欠です。「歯ブラシ指導のないまま治療が進む」「仮歯の状態で歯茎からよく出血する」このような場合は要注意かもしれません。
食べづらい・噛みづらくなった 噛み合わせが悪くて顎が痛い
セラミック矯正では、通常の矯正治療とは異なり歯を移動させずに見た目を改善するため、歯の傾きや方向に無理が生じる場合があります。それが噛み合わせの悪さや、食事のしづらさに繋がることもあります。また前述のようにセラミックが割れることがある材料のため、トラブルを避けるために全く噛んでいないセラミックが装着されている場合もあります。このように見た目だけを優先したセラミック矯正が行われることも、残念ながら存在します。
噛み合わせの悪いセラミックが装着されていると、他の歯や顎関節にしわ寄せが生じて、歯やセラミックが割れたり顎関節症になるリスクがあります。セラミックの長持ちのためには安定した噛み合わせが必要不可欠です。仮歯の期間に食事のしづらさを確認したり、担当医が細かい噛み合わせの調整をしてくれるか、見極める必要があるでしょう。
見た目に満足していない
セラミック矯正を行ったのに、思ったよりも見た目が改善しなかったと感じてしまう理由として、「セラミックの色や形に対する不満足」と「横顔のバランスが改善しなかった」というふたつの原因が考えられます。
セラミックは、歯の透明感やグラデーションをとても細部まで再現できる材料ですが、そのためには歯科医師・歯科技工士の技術だけでなく、患者様の要望を聞き取るコミュニケーションが必須です。「他の歯と色味を合わせたい」「できるだけ白い歯にしたい」など、時間をかけたカウンセリングを受けることで、セラミック矯正で失敗したと後悔する可能性を減らすことができるでしょう。
またセラミック矯正は歯の傾きを変えることはできますが、歯茎の位置を変えることはできません。特に「出っ歯」や「口ゴボ」の方は、思ったよりも改善しなかったと治療を後悔することになってしまいます。口元の改善のためには通常の矯正治療が必要です。患者様のお悩みに対していくつかの治療方法を提案してくれるか、治療法によってできることとできないことをしっかりと説明してもらえるか、がとても重要です。
セラミック矯正はやり直しできるの?
これまで解説した通り、セラミック矯正には歯科医師の幅広い知識と高い技術だけでなく、同じくセラミックに精通した歯科技工士とのコラボレーションがとても重要です。また、患者様が一度失敗したと感じている治療をやり直す場合、初回の治療よりも治療の難易度が格段に上がります。慎重に医院選びを行う必要があるでしょう。
当院では、日本補綴歯科学会専門医・日本顎関節学会専門医の資格を持っている、セラミック治療と噛み合わせの専門家である歯科医師が治療を担当します。さらに、必要な場合は日本矯正歯科学会認定医による矯正治療など、様々な治療オプションを取り揃えています。
お悩みを解決するお手伝いができるよう、様々な方法をご提案させていただきますので、ぜひ一度カウンセリングでご相談ください。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、セラミック矯正で失敗したと後悔するポイントと、セラミック治療のやり直しについて解説しました。
セラミック矯正やセラミック矯正の再治療は難易度が高いため、歯科医院選びが重要です。さらに、その歯科医院でカウンセリングを十分に受け、メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで治療法を選択することが、セラミック矯正で後悔しないためにもっとも重要と言えるでしょう。
名古屋市千種区にある歯医者 ちくさ池下歯科・矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医の資格を持つ歯科医師と、日本補綴歯科学会専門医の資格を持つ歯科医師が協力して、患者様のお悩みを解決できる体制を整えています。まずは検査と相談だけでも、もちろん可能です。お悩みや不安について、ぜひお気軽にお問い合わせください。