「歯ぎしりや食いしばりを改善したいけど、エラボトックスは効果があるの?」
こんにちは。
名古屋市千種区にある歯医者、ちくさ池下歯科・矯正歯科 院長の河村です。
就寝中の歯ぎしり、日中の食いしばりや噛みしめに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。日常的な歯ぎしり・食いしばりから引き起こされる顎の疲労感は、時には大きなストレスへと変わってしまいます。さらには、顎関節症や歯周病、歯が折れるなどのお口の中のトラブルの原因となったり、エラが張って見えるという見た目のコンプレックスにも繋がることがあります。
歯ぎしり・食いしばりに対するアプローチとして、注目を集めているのがボツリヌス治療です。歯科医院で行われるこの治療法は、歯ぎしり・食いしばりの症状を和らげ、日常生活のストレスを軽減する可能性を秘めています。しかし、詳しい治療法やメリット・デメリットについてご存じない方も多いのではないのでしょうか。
この記事では、「歯科医院で行うボツリヌス治療について詳しく知りたい」という方に向けて、歯ぎしり・食いしばりに対するボツリヌス治療の概要について、歯科医師が詳しく解説していきます。
目次
ボツリヌス治療とは?
ボツリヌス治療は、ボツリヌス菌から抽出されるボツリヌストキシンという成分(タンパク質)を注射する治療法です。ボツリヌストキシン製剤は、一時的に筋肉の働きを弱め、筋肉の過剰な収縮やそれに伴う影響を抑える効果があります。元々は筋肉の痙攣に対する治療に用いられましたが、現在では表情しわの治療や小顔効果を目的とした美容医療にも応用されています。
ちなみに、「ボトックス」という言葉が有名ですが、ボトックスはアメリカのアラガン社が製造・販売しているボツリヌストキシン製剤の商品名です。「ボトックス治療」や「エラボトックス」をうたっていても、実際には「ボトックス」ではない製品を使用している場合もありますので、注意が必要です。
当院では、世界30か国以上で販売・使用されている実績のある韓国製のボツリヌストキシン製剤を使用しています。
歯ぎしり・食いしばりに対して有効なボツリヌス治療
歯ぎしり・食いしばりについて
歯ぎしり(就寝中に上下の歯を擦り合わせてしまうこと)や食いしばり(無意識に上下の歯を接触させたり強い力で噛み合わせること)は、日常のストレスや緊張から発生すると言われており、歯や顎に様々な影響を及ぼすことがあります。
夜間の歯ぎしりや食いしばりは、主に睡眠サイクルの浅い眠りの時に起きると考えられています。原因は明確に解明されてはいませんが、ストレスが大きく関わっているとされており、疲れが溜まっていたり環境の変化によって増加するという報告もあります。
日中の食いしばりや噛みしめもストレスや緊張が関与していると考えられています。また集中しているときに噛みしめる癖がある方や、噛み合わせに不安があるため、無意識に噛みしめを行ってしまうという方もいます。
歯ぎしり・食いしばりによるリスク
歯ぎしりや食いしばりを続けてしまうと、歯のすり減りや歯茎が下がるだけでなく、最悪の場合は歯が割れることもあります。また顎の筋肉の強張りや痛み、顎関節の痛みといった症状が起こります。長年にわたって歯ぎしりや食いしばりが続くことで、頭痛や肩こりといった体の不調や、噛み合わせの違和感を発症する可能性があることも知られています。
さらに、顎の筋肉のひとつである咬筋が緊張することで、「エラが張る」「エラが目立つ」という見た目のコンプレックスに繋がることもあります。
歯ぎしり・食いしばりに対する治療法と、ボツリヌス治療の効果
歯ぎしりや食いしばりに対しては、マウスピース(ナイトガード)を使用したり、日常生活で噛みしめの自覚をして意識するというものが主な治療法でした。しかし、これらはあくまでも症状に対する対症療法で、根本的な解決というわけではありません。
そこで、歯ぎしり・食いしばりに対するボツリヌス治療が注目されています。
ボツリヌス治療によって、ボツリヌストキシン製剤を咬筋に注入することで、咬筋の収縮が抑えられ食いしばりの力が発揮できなくなります。そのため、筋肉の強張りが改善して顎の痛みが軽減したり、歯へのダメージが少なくなるだけでなく、エラの張りがすっきりして見えるという効果があります。
ボツリヌス治療の流れと、メリット・デメリット
ボツリヌス治療の流れ
カウンセリング
患者様のお悩みを詳しく聞かせていただきます
診察・検査
お口の中や顎関節の状態について、レントゲンなどを使用して検査を行います
診断・治療説明
検査の結果から考えられる、お悩みの原因について説明をします
複数の治療方針を提示することで、ご自身に合った治療方法を選ぶことができます
ボツリヌス治療を選択された場合は、施術にうつります
ボツリヌス治療
施術前に注意点について確認を行います
施術時間は10~15分程度です
施術終了後はすぐにご帰宅いただけます
アフターケア
施術後2~3日が経過してから、ボツリヌス治療の効果が実感できます
およそ1週間後に効果判定を行い、フォローアップの期間についてご案内します
効果は4~6ヶ月程度持続するため、効果が減弱するころに再度施術を行う場合もあります
ボツリヌス治療のメリット
- 歯ぎしり・食いしばりに対する筋肉や顎関節への負担が減る
- 歯のすり減りや歯が割れるのを予防することができる
- 知覚過敏が少なくなることがある
- 処置の時間が短く、効果が数か月持続する
- ダウンタイムが少ない
- エラの張りが少なくなることで、見た目がすっきりする
ボツリヌス治療のデメリット
- 一時的に噛む力が弱くなり、食事のときに違和感を感じることがある
- 注射による内出血が生じることがある
- 一定期間で効果が減弱するため、数か月ごとの施術が必要となる
注意点とまとめ
当院で行うボツリヌス治療は、小顔効果などの美容医療を目的としたものではなく、歯ぎしり・食いしばりによる歯や顎関節の過剰なストレスを解消することを目的としています。そのため、顎関節の状態や虫歯、歯周病の検査を行うことは必須です。
患者様の見た目が気になる部位ではなく、筋肉の緊張が認められる部位への施術を行っております。
いかがでしょうか。今回は、歯ぎしり・食いしばりに対するボツリヌス治療の概要と、治療の流れ、メリット・デメリットについて解説しました。
歯ぎしり・食いしばりによる症状は、激痛などを伴うことは少ないものの、起床時や食事のときの疲労感から日常生活におけるストレスに繋がります。ボツリヌス治療を行うことで、顎の不快感を軽減できるだけでなく、頭痛や肩こりが改善したりエラ周りがすっきり見えるようになる可能性もあります。
名古屋市千種区にある歯医者 ちくさ池下歯科・矯正歯科では、日本顎関節学会専門医の資格を持つ院長がカウンセリングから顎関節の診断、ボツリヌス治療の施術までを行っております。他にもマウスピース治療などの診療メニューのご案内も可能です。まずは検査と相談だけでも、ぜひお気軽にお問い合わせください。