「矯正治療の料金って高いよね」「矯正治療の治療費にはどんな内容が含まれているんだろう」
矯正歯科治療の治療費は高額となるイメージがありますが、どのような内訳になっているか気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、「矯正治療の治療費の内訳を知りたい」という方に向けて、初診から治療終了までにかかる費用の内訳について、実際の治療の流れに沿って解説していきます。
はじめに(矯正治療はなぜ高額?)
矯正歯科治療が高額となる理由は、医療保険(公的医療保険)の対象とならない「自由診療」、つまり全額自己負担となる治療であるためです。
医療保険は「病気を治すための治療」に対して国が治療費の一部を負担する制度です。矯正治療の多くは、歯並びを治す・整えるための治療であり、歯並びが悪いだけでは虫歯や歯周病の直接的な要因にはならないという考えのため、矯正治療は基本的に医療保険制度の対象外となっています。
※先天性疾患による不正咬合や外科的矯正治療の場合は、保険治療の対象となります。
矯正治療の料金の内訳は?
矯正治療の大まかな流れは、(1)初診相談(2)検査・診断(3)動的治療(歯を動かす治療)(4)保定治療(動かした歯を安定させる治療)となっています。それぞれでかかる費用について解説します。
治療前の料金(初診相談、検査・診断)
初診相談
お口の診察と写真撮影を行います。必要に応じてレントゲン撮影や口腔内スキャンを行う場合もあります。診察結果と写真をもとに、考えられる治療の内容や費用の概要をお話しします(正確な治療計画の立案には検査・診断が必要です)。
検査・診断料
検査では、歯科用CT、口腔内スキャン、顔写真の撮影、虫歯・歯周病のチェックなどを行います。歯科用CTではあごの骨や歯、顎関節の状態を3次元的に把握したり、お顔を横から見たレントゲン写真を作り、上下のあごのバランスや歯の傾きなどを確認します。口腔内スキャンでは咬み合わせの記録をとります。これらの検査結果を分析し、患者さんの現在の状態を詳しく調べます。
診断では、検査結果の説明、治療計画・治療費についてお話しします。検査結果をもとに治療計画を立てているため、初診相談時にお話しした内容と異なる場合があります。
治療中の料金
歯を動かす治療を動的治療と言います。動的治療は患者さんの年齢・生え代わりの状態に応じて乳歯列矯正治療、第一期治療、第二期治療に分けられます。
乳歯列矯正治療
乳歯列の方を対象とした矯正治療です。既製のマウスピース型矯正装置を使用し、咬み合わせやあごのバランスなどを改善します。
基本技術料(第一期治療)
第一期治療は混合歯列期の矯正治療です。第一期治療では歯列の拡大や上下のあごのバランスを整えるなど、今困っていることの改善に加え、将来生えてくる永久歯のための土台作りを目的に治療を行います。取り外し式の拡大装置や、固定式のワイヤー装置などを使用します。装置代は基本技術料に含まれます。
基本技術料(第二期治療:ワイヤー矯正)
第二期治療は永久歯列期の矯正治療です。ワイヤー装置で治療を行う場合の基本技術料となります。ワイヤー装置代は基本技術料に含まれます。当院で第一期治療を行った方は、第二期治療の基本技術料から第一期治療の基本技術料を差し引いた金額となります。
基本技術料(第二期治療:マウスピース矯正)
第二期治療は永久歯列期の矯正治療です。マウスピース矯正の場合、治療難易度によって料金が異なります。当院で第一期治療を行った方は、第二期治療の基本技術料から第一期治療の基本技術料を差し引いた金額となります。
部分的矯正治療
部分的矯正治療は前歯のみ、奥歯のみといったように部分的に矯正装置をつける治療です。補綴治療(かぶせ物の治療)の前に歯を整えたり、骨の中に埋まって出てこられない歯を引っ張る治療などが対象となります。
調整料
矯正装置を装着すると、月に一度調整が必要となります。第一期治療、ワイヤー矯正治療、マウスピース矯正治療、部分的矯正治療のいずれも毎回調整料がかかります。
観察料
乳歯列矯正治療の方が対象です。乳歯列矯正治療の方は月に一度観察が必要であり、毎回の観察料がかかることがあります。
抜歯
矯正治療に関わる抜歯は保険治療の対象外となります。抜歯料金には痛み止め等のお薬代も含まれます。親知らずおよび乳歯の抜歯は保険治療の対象となります。
付加装置
第二期矯正治療(ワイヤー矯正治療)の際、ワイヤー装置と併用して、付加装置を使用する場合があります。歯列の幅を広げたり、歯を後ろへ動かすなど、歯を動かす際の補助装置として使用します。
歯科矯正用アンカースクリュー
歯科矯正用アンカースクリューとは、矯正治療を効率的に進めるために開発された装置です。第二期治療(ワイヤー矯正治療)で使用します。あごの骨に小さなネジをうち、歯を動かす支えとして使用します。ワイヤー装置だけでは動かせない方向に歯を動かしたり、治療を効果的に進めることが可能となります。料金内には埋入費用・痛み止め等のお薬代も含まれます。
審美ワイヤー(ホワイトワイヤー)
できるだけ目立たない装置をご希望の場合、白いコーティングが施されたワイヤーをご用意しています。当院の場合では、基本技術料に審美ワイヤー(ホワイトワイヤー)料金が追加となります。
治療後の料金(保定装置、観察料)
矯正治療で歯並びを整えたあとは、動かした歯を安定させるための治療(保定治療)が必要です。
保定装置
固定式あるいは取り外し式の保定装置を使用します。
保定観察料
保定治療中は3-4か月に一回、保定観察が必要です。歯並びが安定しているか、保定装置を問題なく使えているかを確認します。当院では虫歯・歯周病のチェックと併せて行います。
矯正治療費の支払方法について
一括でお支払い
当日お支払いいただく場合は、現金もしくはクレジットカードがご利用いただけます。
銀行振り込みをご希望の場合は、装置装着日までに指定の口座にお振込みください。
分割払い
分割払いをご希望の場合はデンタルローンをご利用いただけます。
医療費控除の対象になります
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間にかかった医療費の総額が一定額を超えた時に適用される制度で、確定申告の際に所得税の一部が還付されます。
矯正治療は治療を行う目的や治療を受ける年齢によって矯正治療が「必要」と認められる場合、医療費控除の対象となります。
発達段階にある子どもの矯正治療は、歯ならびや咬み合わせを改善し、良好な成長を促すために必要な治療と考えられるため、医療費控除の対象となります。
成人の矯正治療は、咀嚼や咬み合わせなどの問題の改善を目的とする場合は医療控除の対象となります。見た目の改善など、美容のみを目的とした場合は控除の対象になりません。
医療費控除の対象となる医療費は以下のものになります。
- 矯正治療に関わる基本的な費用(検査・診断料、基本技術料、調整料など)
- 治療に伴い必要となる抜歯費用や医薬品の購入費用など
- 通院のための公共交通機関による交通費、子どもの通院の付き添い人の交通費など(自家用車のガソリン代、駐車料金などは対象となりません)
治療費の領収書は再発行できませんので、必ず保存しておいてください。
矯正治療が保険適応になる場合
矯正歯科治療は一般的には保険適用外ですが、以下の場合に限り、保険診療の対象となります。
①「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
なお、これらの保険が適用となる矯正歯科治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、矯正治療の初診から治療終了までにかかる費用について解説しました。あくまでも当院の矯正治療費用を基に解説しているため、医院によって異なる場合があることはご了承ください。
矯正治療は、「ほとんどが健康保険適応外であること」「治療期間が長くかかること」「専門性の高い治療であること」といった理由から、治療費が高額になります。しかし、見た目のコンプレックスが解決できるだけでなく、将来的な虫歯や歯周病のリスクも下げられるなど、多くのメリットもあります。矯正治療で後悔しないために、費用の安さだけではなく、担当歯科医師の雰囲気や経歴なども事前にチェックしておくと良いでしょう。
歯並びはひとりひとり個性があり、治療内容や使用する装置などについては一概には言えません。気になることがあれば、まずは矯正治療専門の歯科医師に相談すると安心です。お口の中を実際にみて、それぞれにあった治療プランをご提案してもらえます。
当院では無料矯正相談を行っております。いつでもお気軽にご相談ください。