10月~11月診療カレンダー

暑さもやっと落ち着き、少し肌寒を感じる季節になりました。
院長の河村です。

季節の変わり目では、体調管理が難しいことや、自律神経の乱れから
歯の不調を感じやすいと言われています。
トラブルが起こる前の、お早めの受診をおすすめしております。

また、子供/大人歯並び・ホワイトニングの無料相談も随時行っております。
ぜひお気軽にご相談ください。

10/28(土)・11/25(土)は、セミナー参加のため院長不在です。
ご予約の診療内容に一部制限があります。
ご迷惑をお掛けしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

当院のInstagramも合わせてご覧いただけると嬉しいです!

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顎関節症の検査方法と治療方法について

「自分が顎関節症かどうか知るには,どのような検査をするの?」

「顎関節症の治療方法や,セルフケアについて知りたい」

顎関節症は顎関節の骨とその周りの組織に起きる障害をとりまとめた病名であり,主症状は,疼痛障害・開口障害・関節雑音の3つです。特定の症状や状態を指すものではなく,3つの症状のうちひとつだけが出現する場合や,いくつかが組み合わさって出現する場合もあります。そのため,自分がどのタイプの顎関節症か,どの治療法が自分に合っているのかについて知るためには,検査に基づく正確な診断が重要です。

この記事では,「噛み合わせが悪いと,顎関節症は治らないの?」「自分でもできるセルフケアについて知りたい」という方に向けて,顎関節症の検査や治し方,セルフケアのポイントやなどについて,日本顎関節学会専門医が解説していきます。

顎関節症の症状や原因,やってはいけないことについて知りたい方は,「顎関節症かなと思ったときに知っておきたいこと」の記事も併せて参考にしてください。

顎関節症とは

顎関節症とは,あごの関節やその周囲の軟骨や靭帯,また口を開け閉めする筋肉に生じる,痛み・開口障害・雑音を主な症状とする傷害の包括的診断名である,定義されています。

つまり,特定の病気を指すのではなく,症状もそれが出現する部位も人それぞれ異なるのです。そのため,自分がどのタイプの顎関節症なのかをしっかりと検査して,どの治療が自分に合っているかを見極めることがとても重要です。

また顎関節症の発症には,生活習慣や癖も大きく関わってきます。そのため,軽度の症状であれば生活習慣の見直しやセルフケアで治療することも可能かもしれません。

顎関節症の検査方法

顎関節症かどうかや,タイプの診断のためには複数の検査方法を組み合わせて行います。

問診

患者様からのお話を詳しく聞かせていただきます。痛みの程度や経過,発生頻度や日常生活のどのタイミングで痛みを感じるかなどを教えていただきます。症状は今回が初めてなのか,これまで何度か経験したことがあるかも重要です。日々の心配事や,生活リズムの変化などがきっかけになることもありますので,些細な事でもお聞かせください。

顎の動きの検査,筋肉の触診,痛みの部位の特定

お口がどの程度開くのかを調べます。開きづらい場合には,開かない原因や痛み・引っかかりの場所を特定します。開け閉めの際に音が鳴るときは,音の種類や頻度を触診で確認します。

またあごの関節周囲や筋肉を触診して痛みや張りの程度を確かめます。あごを動かす筋肉は,咬筋・側頭筋・顎二腹筋・胸鎖乳突筋・内側翼突筋・外側翼突筋などさまざまあるため,どこにストレスがかかっているかをしっかりと確認していきます。

心理検査

顎関節症は身体だけでなく,精神的な不調も影響すると言われています。そのため,必要な場合はストレスチェックや心理テストを行うこともあります。

歯科医院で心理テストと聞くと意外かもしれませんが,当院で参考にしているDC/TMDという国際的に使用される顎関節症の診断基準でも,身体的評価と心理的評価の項目が設定されています。今後,日本でもっとスタンダードになるかもしれません。

レントゲン検査

パノラマレントゲンと呼ばれる歯や顎関節,あごの骨などが確認できるX線を撮影します。顎関節の位置や形態だけでなく,歯の異常も検出することができるため,痛みの原因が歯にあるかどうかも判断できます。またパノラマ四分割という撮影方法では,口の開け閉めに伴う顎関節の移動量も確認できます。このように複数の撮影方法を使い分けることもあります。

CT検査

上記のレントゲン検査はあくまでも2次元の撮影のため,顎関節の詳細な構造を見るためにCTスキャンを使用して3次元的に評価を行います。CT検査では主に,骨の異常,関節内の異常構造など,硬組織の診断が可能です。

左右の顎関節を同時に撮影できる歯科用CTはまだあまり普及していません。当院の歯科用CTでは一回の照射で撮影可能なため,患者様のご負担を減らすことができます。

 MRI検査

MRIでは,顎関節と周囲の組織(軟骨・筋肉・靭帯・滑液など)の詳細な評価ができます。骨の確認もできますが,MRIは主に軟組織の検出を得意としています。CTでは確認が難しい,炎症の有無や軟骨の位置異常も調べることができます。

歯科医院でMRIを完備しているところはほとんどありません。大学病院や専門の撮影機関などを受診していただく必要があります。

顎関節症に対する治療法

顎関節症の治し方や症状緩和の方法には以下の通り,いくつかの種類があります。

生活指導

生活指導は,顎関節症に対して行われる初期治療アプローチの一つです。顎関節症の発症には生活習慣が大きく関わっていると考えられるため,ほぼすべての患者様にお伝えしています。

日常生活での食事や口の動きに関する適切な方法や習慣を意識することで,症状の改善を図ります。例えば,あくびや噛みしめを避ける,硬い食べ物を控える,ストレスを軽減するなどのアドバイスが含まれます。

理学療法・運動療法

器具を使った手法や運動を利用して症状の改善を目指す方法です。代表的なものは冷却/温熱,電気刺激療,超短波を使用した方法が挙げられます。また歯科医師や患者様によるマッサージやストレッチ,他にもマニピュレーションという関節のズレや筋肉の緊張を和らげる方法もあります。

薬物療法

薬物療法は,痛みや炎症を軽減するために薬剤を使用する治療法です。消炎鎮痛薬(痛み止め)や筋弛緩薬(筋肉の緊張をほぐす薬)が処方されることがあります。顎関節症に伴う痛みや筋肉の緊張を抑え,快適性を向上させる目的があります。ただし薬物療法は対症療法としての位置づけが強く,他の治療法と併用されることが多いです。

アプライアンス療法

アプライアンス療法は,スプリント(マウスピース)を使用して噛み合わせのバランスと整える治療法です。基本的には就寝中の歯ぎしりに対して,顎関節や筋肉の負担を軽減するために適応されますが,噛み合わせをリセットする目的で日中にも装着していただくこともあります。

噛み合わせ治療

原則,顎関節症の初期治療として,噛み合わせ治療が選択されることはありません。
前の記事にもあるように,顎関節症は様々な要因によって引き起こされるため,噛み合わせの悪さだけが原因ではないからです。基本的には,歯を削るなどの元に戻せない治療を行うことはなく,体の負担が少ない治療法から選択されます。

ただし,歯の治療などがきっかけで顎関節症が発症した場合などは噛み合わせ治療が推奨されることもあります。

これらの治療方法は,顎関節症の症状の程度や原因によって異なります。正確な診断と適切な治療を受けることで,症状を緩和し,速やかに日常生活の質を向上させることが期待できます。早期に歯科医院を受診し,可能であれば専門医に相談することで,最適な治療法を見つけることが重要です。

自宅でできる顎関節症のセルフケアについて

セルフケアは顎関節症の症状改善にとても有効なアプローチです。顎関節症のセルフケアについての重要なポイントをご紹介します。

TCHを意識する

TCH(Teeth Contacting Habit : 歯列接触癖)とは,歯ぎしりや噛みしめの習慣を指します。普段,リラックスしたときは上下の歯にはすき間が空いていますが,上下の歯が接触していると筋肉の疲労や関節の負担に繋がります。特にスマホやパソコンを操作しているときなど,うつむいて集中しているときに注意が必要です。

開口訓練

開口障害(口の開け閉めの動きが制限されている状態)が起きているときに行います。あごの関節の可動域を広げたり,筋肉をストレッチしたりする効果があります。意識的に大きく開け閉めする,指を使って軽く口を押し広げるなどの訓練を行います。痛みを感じる場合は逆効果で,無理のない範囲で行うことがポイントです。

筋肉をほぐす

あご周囲の筋肉の緊張や炎症による症状が出ている際に有効です。マッサージやストレッチを行い,筋肉をほぐして血行を促進することで,症状を緩和させます。温かいタオルを当てたり,お風呂上りに行ったりすることで,より効果的にほぐすことができます。

生活習慣を見直す

骨格や噛み合わせだけでなく,生活習慣が顎関節症の発症に大きく影響すると考えられています。あごに負担をかける動作(硬い食べ物を噛む,あくびをする,頬杖やうつ伏せ寝)を避けるなど,日常生活での注意が重要です。また過度のストレスを溜め込まないように心掛けることや,十分な睡眠や食事を意識することも,症状の改善に役立つことがあります。

セルフケアは顎関節症の症状軽減や再発防止にとても有効ですが,急性期(発症して間もないときや,痛みや症状が強いとき)には逆効果となることもあります。自分で治すのではなく,専門家に相談して適切な指示を仰ぐことで,症状の改善が期待できます。

まとめ

いかがでしょうか。今回は顎関節症の検査や治療法,セルフケアのポイントについて解説しました。

ちなみにこの記事を書いた日本顎関節学会専門医の当院院長でも,難しい処置が続いた際には噛みしめによって顎関節症の症状が出ることがあります。そのくらい日常生活の影響が大きいことがお分かりいただけると思います。

また,生活習慣の見直しやセルフケアは症状の緩和や予防には有効ですが,無理なストレッチやマッサージは悪化に繋がる可能性もあります。症状が強いときや長く続く場合には,自分で治そうとするのではなく,お気軽に専門家にご相談ください。

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顎関節症かなと思ったときに知っておきたいこと

「顎がだるいときがあるけど,これは顎関節症なの?」

「顎関節症を治すときは何科に行けばよいの?」

突然ですが,歯科における3大疾患というのはご存知でしょうか。

歯科の3大疾患とは,「虫歯」「歯周病」「顎関節症」の3つを指します。しかし,虫歯や歯周病の治療のために歯科医院に通った経験がある方は多くいらっしゃると思いますが,顎関節症の治療で通院したことがある方はそれほど多くないと思います。そのため,顎関節症についてあまりご存知ない方も多いのではないでしょうか。

この記事では,「顎関節症の原因や治し方について知りたい」「顎関節症かもと思ったときにやってはいけないことを知りたい」という方に向けて,顎関節症の特徴や原因,通院のポイントやなどを日本顎関節学会専門医が解説していきます。

顎関節とは

顎関節は,頭蓋骨(上あご)と下あごの骨をつないでいる関節です。頭蓋骨を構成する骨のひとつである側頭骨のくぼみに対して,下顎骨の突起がはまり込むような構造になっています。その骨と骨の間には,関節円板と呼ばれる軟骨があり,周囲には靭帯や関節包,滑膜,さらには顎を動かすいくつかの筋肉が存在しています。

顎関節は耳の穴の前に位置しています。顎関節が動くことで口を開けたり閉じたりできるのですが,実際には下顎骨の突起が回転と滑走という動きを行っています。耳の穴の1cmくらい前に指を置いて口を大きく動かすと,窪みができたり骨が動いたりするのを触れることができます。ちなみに,人間の関節の中で「左右が協調して動く」「回転と滑走の2種類の動きをする」関節は顎関節だけです。このように顎関節がとても複雑な動きをすることで,食事や会話の際にスムーズに顎を動かすことができるのです。

顎関節症と,主な3つの症状

顎関節症は特定の症状や状態を指すものではなく,顎関節の骨とその周りの組織に起きる障害をとりまとめた病名です。主な症状は,疼痛障害・開口障害・関節雑音の3つがあります。

疼痛障害 - 口を開けると痛い 硬い物を噛むと痛む

疼痛(痛み)を感じる状態です。痛みが発生する場所は主に,顎関節(骨・軟骨・靭帯など)に起きる場合と,筋肉(咀嚼筋)に起きる場合があります。痛みを感じるタイミングは,「常に鈍い痛みや違和感がある」「大きく開けると痛い」「硬い物を噛むと痛みを感じる」など様々です。
しかし,顎関節症の痛みは主に誘発痛(刺激を受けたときに痛むこと)と言われているため,「何もしなくてもズキズキ痛む」「痛みで眠りが浅い」などの強い痛みの場合は別の疾患の可能性があります。

【患者様の主な症状】

  • あくびをしたり,大きな口を開けたりすると顎関節に痛みを感じる
  • 硬い物を噛むと痛い 力が入りづらい
  • 食事後にあごがだるい
  • 朝起きたときにあごの疲労感がある

開口障害 - 口が開かない

口が大きく開けられない・開けづらい状態です。大まかな目安としては,人差し指・中指・薬指の3本分よりも口が開かない場合に開口障害があると判断されます。

主な原因としては,顎関節内部の関節円板と呼ばれる軟骨の位置がずれることで,下あごの骨の動きが制限され,口が開けにくくなります。他にも関節や筋肉の痛みが原因で,あごが動かせなくなる場合もあります。また口が開けづらい状態が長く続くと,関節の可動域が狭くなり,口が開く量が制限されたままになってしまうこともあります。

顎関節症以外でも,親知らずの炎症や腫瘍などが原因で起こる開口障害もあるため,注意が必要です。

【患者様の主な症状】

  • 口が開けにくくなった
  • 大きく開けようとすると,痛みで開けられない
  • 口を開けると,あごの動きが左右非対称になる

関節雑音 - 口を開けると音がする

顎関節内部の関節円板と呼ばれる軟骨のズレや変形が原因で,引っかかったり乗り越えたりする際に音が生じます。『カクン』と表現されることが多いです。口の開け閉めで鳴る場合や,口を開けたときのみ,もしくは閉じるときのみ鳴る場合もあります。別の原因では,あごの骨の変形が起きた際に擦れたような音が鳴ることがあります。『ジャリジャリ』『ガリガリ』と感じることが多いようです。

自覚症状が関節雑音のみで,痛みや開口障害による日常生活の制限がない場合には,治療の対象とならないこともあります。

【患者様の主な症状】

  • あくびをするとカクンと音がする
  • 食事中にあごからガリガリとした音が聞こえる
  • 口を開けると引っかかったような感覚があり,音が鳴ると開けやすくなる

顎関節症の原因と,やってはいけないこと

顎関節症の原因とは

顎関節症の原因はひとつではありません。顎関節症は多因子性の疾患であり,様々な要因が積み重なって発症すると考えられています。様々な要因によってコップに水が注がれていき,水が溢れたときに自覚症状が出るイメージです。どの要因で水が注がれていくか,コップの大きさも人それぞれ異なります。

顎関節症の主な原因としては,

  1. 悪習癖
  2. ストレス
  3. 不良姿勢
  4.  噛み合わせ
  5. 顎への負担

に分類できると言われており,具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 日中の作業中や集中しているときの噛みしめや食いしばり
  • 夜間の歯ぎしり
  • 口を大きく開ける動作をした 食事中に硬い物を噛んだ
  • 食事の際,左右どちらか一方のみで噛み続ける
  • 歯の治療で噛み合わせが変化した
  • 頬杖 横向きやうつ伏せで寝る 姿勢が悪い
  • 事故などで,あごに直接衝撃を受けた
  • 仕事や勉強によるストレスや不安
  • うつ 不安障害 睡眠障害

顎関節症の方がやってはいけないこと

顎関節症と診断されたときや,自分が顎関節症かもと思った際にやってはいけないことやできるだけ避けた方が良いことについて解説します。

顎関節症の痛みや開口障害の病態としては,筋肉痛や捻挫が近いとされています。そのため,安静にして負担を減らすことがとても重要です。負担を増やすような以下の行為を避けることで,症状の悪化を防ぎ,治療の効果を高めることができます。

  • 無理な口の開け閉めを避ける 痛みを我慢してまで口を開けない
  • 日中の食いしばりを意識してやめる
  • 硬い物を噛まないようにする ガムを噛まない
  • 歌や楽器の練習を避ける
  • あごを圧迫しない(頬杖,横向け寝)
  • ストレスを溜め込まないようにする
  • 自己判断で治療しない

顎関節症で何科に行くか迷った際に,歯科に受診するべき理由

顎関節症かなと思ったら,まず歯科医院を受診しましょう。

整形外科や接骨院などを受診される方もいらっしゃいますが,顎関節症の治療は歯科医院でのみ行うことができます。顎関節症の治療で歯科医院を受診するべき理由は以下の通りです。

● 専門的な知識があり,噛み合わせの診断やアプローチができる

顎関節症については,歯科医師の国家試験に出題されることがあります。そのため,歯科医師であればほとんど全員が顎関節症についての基礎知識があると言えるでしょう。

また顎関節症の診断や治療には噛み合わせに対するアプローチがとても重要です。整形外科医や整体,カイロプラクティック,接骨院では,関節や筋肉に対する症状緩和は行えても,噛み合わせの診断や治療を行うことができません。噛み合わせのバランスと整えるマウスピースも歯科医院でのみ作ることができます。正確な診断のためにも,歯科医院を受診するようにしましょう。

● 他の病気との鑑別ができる

顎関節症の症状である痛みや開口障害は,顎関節症以外の原因でも起こることがあります。例えば,顎関節や筋肉に発生していると思っていた痛みが,実は虫歯の痛みが原因だということもあります。この虫歯や歯周病,あごの骨の炎症については歯科医院でレントゲンを撮影することで分かります。また,同様に歯やあごの炎症の波及が原因で口が開けづらくなることもあります。

実際,私(当院院長)が大学病院で勤務していた際に,顎関節症で口が開かないからと紹介された患者様が,実は親知らずの炎症が原因であり,そのまま入院になったこともありました。また顎関節症の痛みだと思っていたら,脳腫瘍だったケースもあります。他の重大な病気を見逃さないためにも,歯科医院での診断が重要です。

歯科医師であれば最低限の知識があると述べましたが,正確な診断や治療方針の決定についてはより専門的な知識が必要です。可能であれば,顎関節症の専門医がいる病院やクリニックを選ぶようにしましょう。もしお近くにいない場合は口腔外科に詳しい歯科医師でも良いと思います。

まとめ

いかがでしょうか。今回は顎関節症の原因ややってはいけないこと,何科か迷った際に歯科に通うべき理由について解説しました。

顎関節は会話や食事のたびに動かす必要があり,一日に何度も複雑な動きを行っています。そのため知らず知らずのうちに負担や疲労を溜め込んでしまうことがあります。また顎関節症は10~30代の比較的若い年齢に多いと言われていますが,50-60代でも発症することが少なくありません。また顎関節症を悪化させないというだけでなく,他の重大な疾患を見逃さないためにも,あごについて気になることがあれば,ぜひお気軽にご相談ください。

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インプラントにおける治療の流れと治療期間の目安について

「インプラント治療をしたいけど,治療期間はどの程度必要なの?」

「インプラント治療は時間がかかると言われて諦めた」

一般的にインプラント治療は入れ歯やブリッジと比較して治療期間が長いとされていますが,一般的には上顎では12カ月程度,下顎では6か月程度の治療期間が必要と言われています。多くの患者様はもちろん,治療を提供する歯科医師としても治療にかかる時間が短い方が嬉しいのですが,なぜこれほどの時間が必要かご存知でしょうか。また自分自身の治療期間の目安が気になる方も多いかと思います。

この記事では,「手術後どの程度で噛めるようになるの?」「インプラント治療で噛み合わせが回復するまでの時間が知りたい」という方に向けて,インプラント治療に必要な期間や,大まかな目安について解説していきます。

インプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)とは

多くのインプラントはネジのような形をしていることが多く,実際に手術では骨に穴をあけた部分にインプラントを回転させながらネジを入れるように埋め込んでいきます。木の板に木ネジを打ち込んだようなイメージですが,インプラントはただ物理的に埋め込まれているだけではありません。

身体の骨は新陳代謝を繰り返しており,古い骨は細胞に取り壊されて,また新しい骨が作られます。3-5年という周期で体全体の骨が作り替えられるといわれています。インプラントの周囲の骨でも,手術後からこの破壊と再生を繰り返すことで,チタンと骨が光学顕微鏡レベルで一体化して結合するという現象が起こります。これをオッセオインテグレーション(Osseointegration)と呼びます。

ただねじ込まれているだけではなく,オッセオインテグレーションが起こることでインプラントと骨が組織的に結合し,長期間安定して噛み合わせを支えることができるのです。

インプラント治療の流れ

ここでは一般的なインプラント治療の流れを解説します。

カウンセリング お口の中の精密検査

まずは患者さんのお話をしっかりとうかがいます。現在のお口の中の悩みや,不便に感じていること,治療に対するご希望をお話しください。これまでの歯科治療の経験や抜歯に至るまでの経緯,さらには現在のお身体の状態(通院・服薬など)や喫煙歴に関しても質問させていただきます。お口の中ではインプラントを検討している部位だけでなく,お口の中全体の精密検査を行います。

検査結果を踏まえて,治療方針のご相談をします。いくつかの選択肢もご提案しながら,お悩みに対しての最適な方法を探していきます。

歯周病治療・虫歯治療 保存できない歯の抜歯

インプラントの手術の前に,まずは他の歯の虫歯や歯周病治療を行います。インプラント手術や人工歯装着後は感染によるトラブルが起こりやすくなります。虫歯菌や歯周病菌を減らして,お口の中の環境作りをしっかりとおこなう必要があります。保存できない歯がある場合は,抜歯と同時に感染している組織の除去もおこないます。

CT撮影 噛み合わせ検査

CTを撮影して,インプラントを検討している場所の骨の量や骨の質の確認をおこないます。残っている骨の高さや幅だけでなく,骨が柔らかすぎないか・硬すぎないか,血管や神経の走行なども調べていきます。CT撮影の時期としては,抜歯から2-3か月後の骨が回復してきたタイミングでおこなうことが多いようです。また噛み合わせの検査をして,最終的な人工歯の形から逆算したインプラントの位置を検討します。

骨の移植

インプラントに必要な骨の量が不足している場合には,骨の移植をおこないます。不足している量によって,骨の移植手術のみおこなう場合と,インプラント埋め入れと同時に骨の移植をおこなう場合があります。骨の移植手術のみ実施した場合には,手術から3~6か月経過したタイミングでCTを撮影して移植の結果を判断します。

インプラントの埋め入れ手術

インプラントの埋め入れ手術を行います。歯茎に切開を加え,骨にドリルで穴をあけた部分に適切なサイズのインプラントを入れていきます。手術時にインプラントには仮の蓋を装着しますが,歯茎を貫通させて口の中に出す方法(1回法)と歯茎を閉じて覆ってします方法(2回法)があります。埋め入れ後にはインプラントと骨が結合するまで3か月程度かかりますが,骨の移植を併用した場合などは6か月程度治癒を待つこともあります。

インプラントの頭出しの手術

2回法を選択した場合は,蓋を交換して頭出しの手術を行います。手術後は1-2週間の粘膜の治癒期間が必要です。

仮歯の装着

型採りを行って,インプラント部分の仮歯を作ります。一般的には仮歯を2週間から数か月使用してもらい,見た目や噛み合わせだけでなく,発音や歯ブラシができているかどうかを確認して微調整を繰り返します。

最終的な人工歯の装着

仮歯で試行錯誤した形態を参考にして,最終的な人工歯を作っていきます。前歯など,見た目の印象に関わる部分では色合わせも慎重に行います。

メンテナンス

インプラントを長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。お口の中の汚れの除去と合わせて,普段の清掃状態の確認や噛み合わせのチェックを行います。

インプラント治療の流れの例

架空の患者様を例に,インプラントの治療期間の目安を見ていきましょう。

『Aさん』 1年前に事故で上の前歯を喪失
骨や歯茎の量は十分
歯周病はほとんど問題なし

・カウンセリング 歯周病の治療
↓             (1か月)
・CT撮影

・インプラント埋め入れ手術
↓ (3か月)
・仮歯の取付け
↓     (1か月)
・最終的な人工歯の取付け

●全体の治療期間 5か月

『Bさん』 歯周病で上の前歯がぐらついてきた
保存できない場合はインプラント希望
全体的に歯周病が進行
・カウンセリング 歯周病の本格治療
↓             (2か月)
・保存できない歯の抜歯
↓ (3か月)
・CT撮影 …骨の量が不足

・骨の移植
↓ (6か月)
・CT撮影

・インプラント埋め入れ手術
↓ (3か月)
・仮歯の調整
↓       (1か月)
・最終的な人工歯の装着

●全体の治療期間 1年3か月

少し極端な例かもしれませんが,このように同じ上顎の前歯に対するインプラント治療でもお口の中の状況によって治療期間が大きく異なってきます。一般的には抜歯から必要な場合は治療期間が長くなる傾向にありまが,残っている骨や歯茎の量によっても治療期間は左右されます。正確な治療期間の判断のためには,噛み合わせの分析やCT撮影が必須と言えるでしょう。

インプラントにかかる治療期間を短くする方法

従来の進め方よりも治療期間を短縮することができる方法をご紹介します。

抜歯即時埋入

保存できない歯の抜歯と同時にインプラント埋め入れ手術を行う方法です。抜歯とインプラント手術を同時に行うため,外科処置が1回で済み,治療期間も短くできるというメリットがあります。

デメリットは,「骨の厚みや高さが十分にあること,大きな感染がないこと,炎症を起こしていないこと」などの条件を満たしている必要があり,適応できる場面が限られます。また手術の技術や症例の見極めが難しいため,インプラントに精通している歯科医師から施術されると安心です。

即時荷重

インプラントを埋め入れた後,手術当日もしくは翌日などの早い段階で仮歯を装着する方法です。インプラント手術後の歯が無い期間を短くすることはできますが,仮歯を入れてインプラントと骨の結合を待つ必要があるため(概ね2-3か月間),治療期間が大幅に短縮されるわけではありません。しっかりと結合するまでの間は,噛み合わせを弱くしたり隣の歯と固定したりしてインプラントに力が掛からないようにします。そのため食事の制限などがあることや,インプラントが抜けてしまうというリスクもあるため注意が必要です。

インプラント治療中の見た目や食事について

数カ月にも渡るインプラントの治療中はに,全く歯が無いまま過ごさなければならないのでしょうか。もちろん,奥歯が1本だけ無い場合などは見た目や食事にも支障が少ないことが多いため,抜歯からインプラントの仮歯が装着されるまでの期間,歯が無いまま過ごして頂くこともあります。

しかし,前歯の欠損などで見た目に支障がある場合,隣の歯と接着するタイプの仮歯を取付けることで,笑っても見た目が不自然にならないよう工夫をします。
また歯が複数本欠損していて見た目が悪く食事が不便になってしまう場合,インプラントの仮歯が入るまでの期間は入れ歯を装着してもらうこともあります。ただし,インプラント手術直後などは歯茎を休ませるために入れ歯の装着に制限を設けることもあります。

このように,インプラントの治療中でも日常生活にできるだけ支障が出ないよう創意工夫をしながら治療を進めています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はインプラントの治療期間について,大まかな目安や治療期間を左右する要因などを解説しました。
繰り返しになりますが,インプラントは時間がかかる治療法です。見た目や噛み合わせを

一刻も早く回復したとは思いますが,失ってしまった体の一部を取り戻す治療であるため,審美的で機能的なインプラント治療にかけるリハビリ期間は余裕を持って考える必要があると思います。それを踏まえて,患者様の大切なお時間を無駄にしないよう,治療期間を短くするご提案が行えればと考えております。

またインプラントの良くあるトラブルとして,「十分な説明や見積もりの提示がなく,いきなり手術の日程を組まれた」や「2回目の受診で手術を行うと言われた」など,患者様の同意を得ぬまま治療を進めようとするケースもあるようです。不安な場合は主治医にしっかりと確認を取るか,セカンドオピニオンを受けるのも患者様の権利です。お困りのことや些細なお悩みでも,ぜひお気軽にお問い合わせください。

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義歯で知っておきたいこと

「インプラント治療は諦めて入れ歯にしようと思っている」
「今使っている入れ歯が古くなったので,もっと快適な入れ歯にしたい」

前回のコラムでは,ブリッジの特徴と,メリットやデメリットについて解説しました。
ブリッジとインプラントは,固定性補綴装置(こていせいほてつそうち)に分類され,自分の歯や骨に対してネジやセメントで固定されるため,装着後は取り外すことができない,もしくは取り外しに専用の器具が必要といった特徴があります。当院では歯が無い部分の治療としてインプラントを推奨することが多いですが,その理由としては固定性の快適さや審美性が挙げられます。

一方で,入れ歯は可撤性補綴装置(かてつせいほてつそうち)に分類されるため,自分自身で取り外しができることが最大の特徴です。可撤性のため「違和感が大きい」「手入れが煩わしい」といったデメリットに注目されがちですが,入れ歯にしかないメリットあり,決して全ての面でインプラントに劣る治療ではないと考えられます。

この記事では,「入れ歯が合わなくて食事が楽しめない」「入れ歯にして恥ずかしい思いをしている」とならないように,入れ歯の特徴や,不満を解消できるかもしれない特殊な入れ歯について解説していきます。

入れ歯とは

入れ歯とは歯を失った部分を補う治療法で,部分的に歯を失った場合に適用される部分入れ歯と,上顎もしくは下顎で歯が1本も残っていない場合に適応される総入れ歯(総義歯)とに分類されます。

入れ歯の構造です。歯茎に接するピンク色の部分は床(しょう)と呼ばれ,一般的にはアクリル樹脂というプラスチックでできております。歯の部分は人工歯(じんこうし)と呼ばれ,レジンやセラミックのものが使用されます。入れ歯の枠組みやフレームの部分,歯にかかるバネ(クラスプ)には金属が使われており,材料としてはコバルトクロム・ステンレス・チタンなどがあります。

このように入れ歯には樹脂が使用されており,割れることや汚れが付着することがあります。そのため,日々の取扱いや使用後の洗浄がとても大切です。

入れ歯治療の流れ

入れ歯は1回の来院で完成するわけではなく,安定した良い噛み合わせを手に入れるためには複数回にわたってお口の中で細かく調整する必要があります。

検査

現在のお口の中を詳しく検査します。残っている歯の虫歯や歯周病の状態,現状の噛み合わせの確認,顎の骨や歯茎のボリュームなどをチェックして,入れ歯の設計を決めます。

印象採得(型採り)

お口の中の型採りを行います。入れ歯作りでは,残っている歯だけではなく,歯が無い場所の歯茎(粘膜)の部分も正確に型を採る必要があります。そのため最初に準備段階の型採りを行い,その模型上で作ったオリジナルのトレー(個人トレー)を使うことで,よりぴったりな入れ歯が作れるようになります。さらに筋形成と呼ばれる処置を行うことや,シリコン印象材という材料を使用することで,精度を上げることができます。歯科医師の腕の見せ所でもあります。

咬合採得

ワックスでできた装置や,シリコンの材料を使って,噛み合わせの記録を採ります。入れ歯の噛み合わせを決める重要な工程です。

試適

洋服でいう仮縫いの段階です。人工歯を並べて,噛み合わせのズレや見た目を確かめ,微妙な修正を行います。入れ歯は完成時に模型が壊れてしまうので,完成のひとつ前段階であるこの作業でしっかりと確認を行っていきます。

完成

完成した入れ歯を患者様の口腔内に装着して,仕上げの修正を行います。新しい入れ歯は,お口の中で馴染むまでに何度か修正を行う必要があります。患者様の使用感を確認しながら,微調整を繰り返していきます。

お口の中の環境や噛み合わせは,時間の経過とともに少しずつ変化していくといわれています。そのため,作った入れ歯はご自宅での管理と,歯科医院での調整が欠かせません。定期的に粘膜への適合や人工歯の擦り減りを修正することで,快適な食事が長く楽しめるようになります。

入れ歯のメリット

ブリッジやインプラントと比較した,入れ歯のメリットについて解説します。

治療期間が短い

入れ歯を作る工程では何回かの通院が必要ですが,ブリッジやインプラントと比較して治療期間が短い傾向にあります。特に,歯を抜く必要がある場合では,あらかじめ型採りを行っておくことで抜歯当日に入れ歯を装着することも可能です。

費用の負担を抑えることができる

失った歯を補う治療では,保険適用の入れ歯が最も治療費を抑えられます。また保険適用外の入れ歯でも,同じく保険適用外のセラミックブリッジやインプラントと比べると安価な傾向があります。

修理が可能

入れ歯は取り外しが可能なことから,お口の外で修理ができるといった利点があります。また多少時間はかかりますが,技工所に預けて粘膜との適合を改善したり,人工歯を新しく取り替えたりすることもできます。

見た目や口元のボリュームの改善に有利な場合もある

歯を失って歯茎が痩せてしまったとき,ブリッジやインプラントだと歯が長く見えることがありますが,入れ歯では歯茎に該当する部分も回復できるため,自然な見た目が手に入れられます。また失った歯茎のボリュームを改善することで,ほうれい線が薄くなり,口元の印象が良くなる場合もあります。

入れ歯のデメリット

取り外しが可能なことでのメリットもありますが,その反面デメリットも存在します。

取り外しての手入れが必要

入れ歯は基本的に食事のたびに外して手入れをする必要があります。入れ歯を外す→入れ歯を洗浄する→残っている歯を磨く→入れ歯を装着する,という工程を1日に何度も行わなければなりません。特に,外食や旅行の際には煩わしさを感じるかもしれません。

違和感が強い

入れ歯はその構造上,ブリッジやインプラントよりも大きくなります。そのため,使いはじめは装着時の異物感や,舌が当たることによる喋りづらさを感じることが多いです。また上顎(口蓋)を覆うタイプの入れ歯では,味が分かりづらくなってしまい,食事への支障が出ることもあります。

金属のバネが目立つ

食事や会話の際に入れ歯が外れないように,部分入れ歯では残っている歯に金属のバネをかけて安定させています。歯を失った場所によっては残っている前歯にバネをかける必要があり,見た目が気になることもあります。

噛み合わせる力が弱い

咬合力(グッと噛んだ時の力)や咀嚼能率(食べ物を粉砕する能力)を調査した研究では,すべて自分の歯が残っている噛み合わせと比較したとき,部分入れ歯を使用の場合は50-70%に低下し,さらに上あごも下あごも総入れ歯の場合は30%以下に下がってしまうと言われています。そのため,「硬い物が噛めず,メニューに制限がある」「食事に時間が掛かってしまい,食事が楽しめない」となってしまいます。

特殊な入れ歯

保険適用内の入れ歯は安価で製作できるというメリットがありますが,違和感が大きい,安定性が悪い,見た目が悪い,というデメリットもあります。そのデメリットを改良した入れ歯も存在します。

金属床義歯

入れ歯のベースであるピンク色をした床(しょう)の一部分,特にその裏側が金属で作られた入れ歯です。レジンよりも舌が当たる部分を薄くすることができるので,異物感が少なくなって会話がしやすくなります。また強度が高いため,硬い物を噛んでも入れ歯がたわみにくく,しっかり噛めるという特徴もあります。さらに金属が熱を通すことで,食べ物の温度を感じやすくなり食事を楽しむことができます。従来の入れ歯よりも,食事や会話を楽しみたい方にオススメの入れ歯です。

インプラント義歯

歯が無い部分に少数(1-3本程度)のインプラントを埋めて,入れ歯の支えにします。インプラントがあることで入れ歯の歯茎への沈み込みが少なくなり,しっかり噛めるようになります。またインプラントに取付けたパーツの効果で入れ歯が浮きづらくなり,食事や会話中に入れ歯が安定します。入れ歯には抵抗がないけど,しっかり噛みたい,外れにくい入れ歯が欲しいという方に向いています。

コーヌス義歯

コーヌスデンチャー,コーヌスクローネ,コーヌステレスコープとも呼ばれます。残っている歯やインプラントに金属を被せ,入れ歯の内面の金属と適合するようにして安定させます。茶筒のような構造をイメージしていただくと良いかと思います。歯にかかる金属のバネ(クラスプ)がないため見た目が良く,さらに残っている歯に固定されて入れ歯の安定性が向上します。ある程度しっかりしている歯が複数本残っている方に推奨されますが,金属同士を精密に適合させるのが難しため,入れ歯に精通した歯科医師と歯科技工士の協力が必要です。

ノンクラスプ義歯

歯にかかるバネが,金属ではなく床と同じピンク色の樹脂で作られている入れ歯です。特殊な樹脂を使用しているので,フィット感が良く,入れ歯がほとんど目立ちません。入れ歯の設計によっては,裏側の目立たない部分に金属を使用することもあります。ノンクラスプデンチャー,ノンメタルクラスプデンチャーや,商品名で呼ばれることもあります。デメリットとしては,特殊な樹脂のため入れ歯が緩くなってきた際の修理が難しいということが挙げられます。

まとめ

いかがでしょうか。今回は入れ歯に関して,その特徴や特殊な入れ歯についての解説をしました。

歯を失う本数は40代後半から50代で増えると言われていますが,実際は30代や40代の若い方で入れ歯を使用されている方も少なくありません。入れ歯は奥歯1本を失くした場合から,ほとんど歯がないケースまで,幅広い症例に応用できるすばらしい治療法です。しかし,取り外しが必要というデメリットがあるため,恥ずかしいという思いから使用しなくなる場合もあります。そのような状態が続くと噛み合わせの乱れに繋がってしまうため,放置はとても危険です。満足度の高い入れ歯に作り直せるかどうか,インプラントなどの他の方法を検討できないか,ぜひお気軽にご相談ください。

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ブリッジ治療で知っておきたいこと

「歯を抜いたあとの治療をしたいけど,インプラントがベストなの?」
「お口の中にブリッジがあるけど,そのままで大丈夫なのか心配」

当院では,歯が無くなった部分の治療に対して,インプラントをオススメしております。その理由として,インプラント治療には,天然歯のような審美性が回復できる・他の歯の負担を減らすことができる・長期間かみ合わせを維持することができる,といった他の治療には無いメリットが存在するためです。しかし,ブリッジや入れ歯など他の治療法が,すべての面でインプラントに劣るということではありません。ブリッジも入れ歯も素晴らしい治療法であり,お口の中の状況によってはインプラントよりもメリットがある場合もあります。

この記事では,「ブリッジを選んで後悔した」「良く分からないままブリッジにしてしまった」ということが無いように,ブリッジについての特徴や,メリット・デメリットなどを解説していきます。

ブリッジとは

ブリッジは歯を失った場合に対する治療法のひとつで,歯が無い部分の両隣を土台にして,ダミーの歯を連結したものを装着します。歯が無い部分に橋渡しされているような格好になるため,ブリッジと表現します。専門用語では,両隣の歯を「支台歯」,ダミーの部分を「ポンティック」と呼ばれています。

ブリッジの特徴としては,歯が無い部分の両隣にご自身の歯が必要なこと(例外として延長ブリッジ(カンチレバーブリッジ)というものもあります),セメントで装着するため患者さん自身で取り外しできないこと,が挙げられます。また,歯が無いところが1本や2本といった少数の場合にブリッジが適応される場合が多いですが,お口の状況によっては合計で10本程度の歯を装着する場合(ロングスパンブリッジ)もあります。

ブリッジ治療の流れ

メタルブリッジの治療の流れ

保険適応の場合には,主に金銀パラジウム合金という金属が使用されます。前から数えて4番目までは樹脂の材料で表面だけ白くすることも可能ですが,奥歯はほとんどが銀色の見た目になります。
一般的な治療の流れとしては,

土台の歯(支台歯)の治療を行い,形を整える
寒天とアルジネートで型採りを行う(印象採得)
仮歯,もしくは仮の蓋を歯に取り付ける

金属のブリッジを装着する

と最短2回の来院で治療を終えることができます。

セラミックブリッジの治療の流れ

保険適応外となりますが,セラミックを使用して,より審美的なブリッジを作ることもできます。主に使用される材料としては,メタルボンド(セラミック+金属)やジルコニア(オールセラミック)が多いです。

セラミックブリッジの特徴としては,金銀パラジウム合金と比較して「透明感があって見た目が良い」「精密に作られている」「プラークが付着しづらく,土台の歯の虫歯や歯周病のリスクが低い」ということが挙げられます。見た目だけでなく,残っている歯の健康や長期間の予後を考えた場合,セラミックブリッジの方が多くのメリットが存在します。

一般的な治療の流れとしては,

土台の歯(支台歯)の治療を行い,仮歯を装着する

仮歯を調整する(噛み合わせ,見た目,ダミー(ポンティック)部分の汚れ具合など)

シリコン,もしくは口腔内スキャナーで精度の良い型採りをする(精密印象採得)

仮の状態で確認し,噛み合わせや色の微調整をする(試適)

できあがった物を仮付けして,一定期間使用感を確かめる(仮着)

トラブルが無いことを確認して,セメントで装着する(合着)

となっており,保険適応の場合よりも時間がかかることが多いですが,それだけ審美的で精度の良い,満足のいくものを作ることができます。

ブリッジ治療のメリット

先に述べたブリッジの特徴に加えて,他の治療法と比べた際のメリットをご紹介します。

入れ歯と比較した際のメリット

自分の歯の感覚を残して,しっかりと噛むことができる

ブリッジでは両隣の自分の歯を支えにすることから,食物の硬さや噛み心地を,自分の歯と同じように感じることができます。またセメントで固定することから,自分の歯がしっかりしていれば食事中に動くこともありません。

取り外しの手間やわずらわしさがない

自分の歯に装着されているため,入れ歯のように食事の際や夜間に取り外すことや,洗浄液に漬け置きする必要がありません。歯ブラシや歯間ブラシでお手入れすることができます。

バネが目立たない

入れ歯には歯に固定するバネが必要で,前歯だとそのバネが目立つことがありますが,ブリッジではそのバネが必要ありません。ただし,保険適応のブリッジの場合には,奥歯は銀色になってしまいます。

インプラントと比較した際のメリット

手術の必要がない

ブリッジの治療では,基本的には歯茎を切る・骨を削るなどの外科処置を必要としないため,手術に伴うリスクを回避することができます。

治療期間が短い

インプラント治療では骨と結合する治癒期間を待つ必要があるため,治療期間が半年以上にも及ぶことがあります。ブリッジは最短2回の来院で装着することができ,治療期間が短くなります。

【材料によっては保険適応が可能】
ブリッジは健康保険の適応範囲内で治療することが可能で,その場合は治療費を抑えることができます。

ブリッジ治療のデメリット

ブリッジで後悔しないために知っておいてほしい,デメリットは以下の通りです。

適応できる範囲が限られる

ブリッジは歯を支えにするため,原則として歯が無い部分の両隣にある程度しっかりとした歯が必要です。そのため,一番奥の歯を失ってしまった場合や,多くの本数の歯が無い場合には適応できません。歯が無い部位や本数によって,歯を削る本数が定められており,思っている以上の本数を取り込む必要がある場合もあります。

お手入れが難しい

取り外しの必要がないことからブリッジはブラッシングでお手入れができますが,連結部分やダミーの人工歯の下が汚れやすく,虫歯や歯周病,口臭などの原因となってしまいます。連結部分はフロスを通すことが難しため,歯間ブラシを使用する必要があります。

修理ができない

歯に固定するため,ブリッジの破損や土台の歯の虫歯などで再治療が必要となった場合には,ブリッジそのものを壊して取り外す必要があります。一方,入れ歯やインプラントの上部構造は取り外しができることから,再製作することなく簡単な修理を行うことができます。

健康な歯を削る必要がある

ブリッジは両隣の歯にクラウンやインレーを装着することで固定されています。そのため,特に両隣が健康な歯であった場合には,歯を削ることによるリスクが伴います。

さらに,例えば 支台歯‐ダミー‐支台歯 といった3ユニットのブリッジの場合,隣の歯には元々の1.5倍の噛み合わせの力がかかってしまいます。歯を削るリスクや,受ける力が増加することから,ブリッジの支台歯は健康な歯と比較して寿命が短くなります。

ブリッジによる治療が向いているとき・向いていないとき

歯科医師が考える,一般的にブリッジが適している場合と,ブリッジが適さない場合についてご紹介します。

ブリッジが向いているケース

歯が無い部分の前後に金属が被っている場合

先ほど両隣の歯を削る必要があることを述べましたが,隣の歯に既に金属やセラミックが装着されている場合には,新たに歯を削るというリスクは回避することができます。特に失った歯が1本や2本など,少数の場合では有効な治療法です。ただし,隣の歯のクラウンが問題なくても壊して除去しなければならないことや,隣の歯の負担が増えることは避けられないため注意が必要です。

外科手術ができない場合

インプラント治療のデメリットとして,手術に伴うリスクが挙げられます。ブリッジによる治療では手術が必要ないため,「持病や服薬で手術が難しい」,「骨の量や神経の走行によるリスクが高い」,「また手術が怖い」などの場合にはブリッジが適応となります。

治療期間を短くしたい場合

インプラント治療の際には,術前にCTなどで精密診断を行い,さらにインプラントと骨との結合を待つ期間が必要なため,最低でも3か月程度,長いときには1年以上の治療期間が必須です。「治療期間を短くしたい」「来院回数を少なくしたい」「1日でも早く歯を入れたい」という場合にはブリッジが向いています。

ブリッジが向いていないケース

歯が無い本数が多い場合

多くのケースでは,歯が無い本数が1本や2本の場合にブリッジが適応されることがほとんどです。連続して3本以上歯が無い場合,噛み合わせの負担が比較的少ない前歯ではブリッジが可能なこともありますが,奥歯にはほぼ適応されることはありません。
さらに歯が無い本数が2本以上の場合,前後の歯を合計で3本以上削る必要があり,歯にかかる負担がとても大きくなってしまいます。

両隣の歯の状態が悪い場合

少し矛盾しているようですが,ブリッジを行う際には両隣の歯がある程度健康である必要があります。虫歯が深くて歯がほとんど残っていない・根の先に炎症がある・歯周病でグラついている,などの場合には,ブリッジを装着することで歯の欠損が進行してしまう恐れがあります。「せっかくブリッジを装着したのに,どんどん歯が無くなって後悔した」ということが無いよう注意が必要です。

いま残っている歯を大切にしたい場合

セラミックを使用するなど,ブリッジを精度良く作ることで虫歯や歯周病のリスクはある程度抑えることができますが,噛み合わせの負担の増加は避けることができません。またブリッジの寿命は10年程度というデータもあり,ブリッジの撤去の際に土台の歯が抜歯になってしまうことも少なくないです。そのため,「いま残っている歯を長持ちさせたい」「再治療までの期間ができるだけ長い治療をしたい」という方には向いていません。

ブリッジを長持ちさせるポイントとまとめ

いかがでしたでしょうか。今回はブリッジについて,メリットやデメリット,向いているケースと向いてないケースについて解説しました。

最後にブリッジを長持ちさせるポイントを3つご紹介いたします。

  • 材質はセラミックを選ぶ
  • 歯間ブラシを使用したセルフケアを行う
  • 定期検診でブラッシングと噛み合わせのチェックを受ける

ブリッジは,大切な歯を1本や2本失った場合に適している治療法です。治療前の診断と,ご自宅でのお手入れによっては長持ちさせることができる素晴らしい治療法ですが,隣の歯を削ることや,噛み合わせの負担が増えるなどのデメリットもあります。治療法に迷われている場合は,ぜひお気軽にご相談ください。

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ワイヤーかマウスピースか

「矯正をしたいけど、いろいろやり方があるみたい。自分にはどの方法が正解なんだろう……」
矯正治療とは歯並び・噛み合わせを整える歯科治療ですが、一言で矯正治療と言ってもいろいろな治療法があります。みなさんがイメージする矯正治療とはどんなものがあるでしょうか。

今回は数ある矯正治療法の中から、ワイヤー矯正(表側)、裏側矯正(舌側矯正/リンガル矯正)、マウスピース矯正のメリット、デメリットについて解説したいと思います。

ワイヤー矯正(表側矯正)とは

ワイヤー矯正(表側矯正)は、歯の表面にブラケットという矯正装置を取り付け、ブラケットにワイヤーを通すことで歯を移動させる矯正治療です。矯正治療としての歴史が長く、数多くの治療実績、研究結果などで確立されたもっともオーソドックスな治療法です。

ワイヤー矯正(表側矯正)のメリット

① 症例の適応範囲が広い
ワイヤー矯正の一番のメリットは、どんな症例に対しても適応できるという点です。例えば、下の歯が見えないくらい上の歯と深く重なっている「過蓋咬合」という不正咬合は、マウスピース矯正や裏側矯正は適応が難しくなります。その点、ワイヤー矯正は元々の歯並びがどんな状態でも治療を行うことが可能です。また、全ての歯に矯正装置を装着する全顎矯正だけでなく、補綴治療前の部分矯正や、生える方向が正常でなかったために顎の骨の中に埋まってしまい、自然に生えてこられない歯を引っ張り出す治療(歯の牽引)などにも適応できます。他の矯正装置では改善が難しい歯並びも、ワイヤー矯正であれば期待した効果を得られるケースが多いといえます。

② 細かい調整・歯の移動が可能
マウスピース矯正・裏側矯正は患者さんそれぞれに対して設定されたゴールに向かって治療開始から治療終了までのマウスピースやワイヤーを事前に用意します。そのため、歯は基本的に最初に決めた範囲でしか動きません。治療の途中で予期しない歯の動きが起こった場合、軌道修正に苦労することが多いです。一方、ワイヤー矯正では通院の度に前回の調整によってどのように歯が動いたか、今後どのように動かすかを確認し、現在の歯の状態に合わせたワイヤーの選択や矯正力のかけ方などを判断していくため、臨機応変な細かい調整が可能です。

③ 比較的治療期間が短い
マウスピース矯正に比べてワイヤー矯正のほうが歯の移動速度が速い傾向にあるため、同じ歯並び・噛み合わせを治療する際、比較的治療期間が短いのはワイヤー矯正だと言えます。また、ワイヤー矯正は固定式の装置であるため、患者さんの意思とは関係なく継続して歯に矯正力が加わります。マウスピース矯正はマウスピースをつけている間のみ矯正力が働きますが、患者さんご自身でマウスピースの取り外しをしていただくため、患者さんの協力度により治療の進み具合が左右されてしまいます。

ワイヤー矯正のデメリット

① 目立ちやすい
ワイヤー矯正は歯の表側にブラケットとワイヤーを装着するため、どうしても装置が目立つことが欠点とされます。以前は金属製のブラケットが使用されていましたが、最近では歯の色になじむ審美性の高いブラケットが主流となっているため、以前と比べて比較的目立ちにくくはなっています。

② 歯磨きが難しい
ワイヤー矯正はブラケットとワイヤーを組み合わせた複雑な装置で、患者さん自身で取り外しができないため、歯磨きの難易度が格段に上がります。矯正装置をつける前と変わらないブラッシングでは歯磨きが不十分となり、虫歯や歯周病のリスクが上がります。

③ 食事に制限がある
ガム・キャラメル等の粘着性の強い食べ物は装置が壊れる原因となりやすいため、できるだけ控えていただくようにお願いしています。また、硬い食べ物は噛んだ衝撃で装置が外れてしまうことがあるため、前歯でかじらず、奥歯で噛んで食べるなどの工夫が必要です。

裏側矯正(舌側矯正/リンガル矯正)とは

ワイヤー矯正の一種で、歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着する矯正装置です。

裏側矯正のメリット

① 装置が目立たない
裏側矯正の最大のメリットは、装置が目立たないという点です。歯の裏側にワイヤーとブラケットを装着するため、矯正治療開始前と外見の違いはほぼありません。他人に矯正治療をしていることを気づかれることなく、歯並びを整えることができます。

② 舌癖の防止となる
「舌癖」という言葉を知っていますか?本来、舌はリラックスした状態の時、上あごの裏側にある「スポット」と言われるポジションに収まっているのが正常です。「舌癖」とは舌をスポットに留まらせることができず、常に舌を歯に押し付けている状態を指します。歯は頬と唇によって内側に押される力と、舌によって外側に押される力が均衡する位置に収まります。舌癖によって歯が過度に外側へ押され続けるとその均衡が崩れ、歯が前方へ傾いてしまい、「出っ歯」や「開咬」の原因となります。矯正治療の方法に関わらず、舌癖が改善されないと、矯正治療がうまく進まなかったり、せっかく歯並びを整えても後戻りが起こります。舌癖をきちんと治すには舌のトレーニングが必須ですが、裏側矯正では歯の裏側に装置が付くため、舌癖を多少は抑制する効果が期待できます。

③ 虫歯のリスクが比較的少ない
裏側矯正では、歯の表側は装置が付かないため通常通りのブラッシングが可能です。矯正装置が付く裏側に関しては、常に唾液が循環しているため唾液による自浄作用や殺菌作用、再石灰化作用などにより比較的虫歯ができにくい環境となります。もちろん、矯正治療開始前と変わらないブラッシングでは不十分であるため、虫歯・歯周病予防のため、より丁寧なブラッシングが必要です。

裏側矯正のデメリット

① 装置の違和感が強い
裏側矯正は歯の裏側に装置がつくため、舌で触れると違和感が強く、舌に傷がついたり、口内炎ができやすかったりします。装置を付けてから1〜2週間経つと違和感は薄れていきます。

② 発音がしづらい
歯の裏側に装置があると、舌がスムーズに動かせないために舌を歯の裏側にあてて発音する言葉が不明瞭になり、いわゆる「滑舌が悪い」状態となることがあります。特に「サ行」「タ行」「ラ行」の発音に影響が出やすい傾向があります。装置を装着してしばらく経つと、装置があることに慣れてくるため、矯正治療開始前と変わらない状態になることが多いです。

③ 食事のストレス
食事の制限に関しては、裏側矯正も表側矯正と同様です。ただし、歯の裏側に装置が付くため、表側矯正と比べて麺類や線維性の強い食べ物が引っ掛かったり、硬いものが食べにくいといった傾向が強いと思われます。

④ 歯磨きが難しい
歯の裏側は矯正装置が付いていなくても元々歯磨きが難しい部分です。装置が付くとさらに歯磨きが難しくなるため、虫歯や歯周病の予防のため、より丁寧なブラッシングが必要です。

⑤ 費用が高い
歯の裏側は形が複雑で、既製品のブラケットやワイヤーを使用することができません。表側矯正では既製品のブラケット・ワイヤーを使用しますが、裏側矯正は患者さんの歯並びに合わせてオーダーメイドの装置を用意します。そのため、装置代が高くなります。また、歯の裏側は治療操作が難しく、表側矯正と比べてワイヤーの調整・装着等に技術と時間を必要とするため、治療費が高くなる傾向があります。

マウスピース矯正とは

マウスピース矯正は、プラスチックでできたマウスピースを歯に装着して行う矯正治療です。使用するマウスピースは透明度が高いため装置が目立たず、周りの人に気づかれることなく矯正治療を行うことができます。

マウスピース矯正のメリット

① 装置が目立たない
使用するマウスピースは透明度が高いため、装着していても周りの人からはほとんどわかりません。歯を効率的に動かすために歯の表面にアタッチメントと呼ばれる突起をつけますが、アタッチメントも歯の色になじむ素材を用いるため、見た目はほとんど変わりません。

② 食事制限がない
ワイヤー矯正では食べ物の種類によっては控えていただいたり、食べ方を工夫していただくものがありますが、マウスピース矯正の場合は食事制限が全くなく、矯正治療開始前と変わらない食生活で過ごしていただけます。お食事の際は装置を外すため、食事中のトラブルもほとんどありません。

③ ブラッシングが簡単
ワイヤー矯正は複雑な装置が装着されるため、より丁寧なブラッシングが必要です。マウスピース矯正は装置を外してブラッシングできるため、矯正治療開始前と変わらないブラッシングで問題ありません。ただし、マウスピースは歯全体を覆うため、ブラッシングが不十分のまま装置をつけてしまうと汚れが装置の中で停滞し、虫歯のリスクが上がります。きちんとブラッシングを行いお口が清潔な状態でマウスピースをつけるように心がけましょう。

④ シミュレーションが可能
マウスピース矯正では現在の歯並びを3Dデータ化することで、矯正治療のスタートからゴールまでの歯の動きをシミュレーションします。歯がどのように動き、歯並びがどの程度治るのかを患者さんと共有することが可能です。

⑤ 金属アレルギーの方も治療可能
プラスチック製のマウスピースを使用するため、金属アレルギーをお持ちの方や、アレルギーが心配な方も安心して矯正治療を行うことができます。

マウスピース矯正のデメリット

① 一日22時間の装着が必要
マウスピース矯正は、患者様自身で装置をつけ外ししていただくため、患者様の協力度によって治療の効果に差が出てしまいます。1日22時間の装着が必要となるため、食事や歯磨きの時以外は基本的に装置をつけていただくこととなります。マウスピース矯正では装置つけている間しか歯が動かないため、マウスピースを外している時間はその分治療がストップすることとなります。また、装置を外している時間が長時間に及ぶと、歯が予定通りに動かないだけでなく、歯が予期しない動きをすることによりマウスピースが合わなくなり、作り直しが必要となる場合があります。マウスピースを作り直している間は治療を進めることができず、治療期間が延長する要因となります。

② マウスピースを紛失する可能性がある
装置を患者様ご自身で取り外せることは、お食事や歯磨きの観点からはメリットではありますが、紛失してしまう可能性があります。装置を紛失してしまうと同じマウスピースの作り直す必要があり、その分の追加料金がかかる場合が多いです。

③ 適応できる症例に制限がある
どんな歯並びにも適応できるワイヤー矯正とは異なり、マウスピース矯正は適応する症例が限られます。例えば、でこぼこや出っ歯が重度であったり、奥歯のかみ合わせが大きくずれている場合は、歯を抜いて治療する必要があります。抜歯ケースでは歯の移動量が大きくなり、治療計画通りに歯が動いていかないことや、奥歯がうまくかみ合わないなどのトラブルが多くみられます。また、下の歯が見えないくらい上の歯と深く重なっている「過蓋咬合」も、マウスピース矯正が苦手とする歯並びです。

ワイヤー矯正(表側&裏側)が適している人

ワイヤー矯正(表側)はもっともオーソドックスな治療法で、どんな歯並びにも適応できます。他の治療法と比べて装置は目立ちやすいですが、確実に歯並びを治したい方や横顔のバランスを改善したい方はワイヤー矯正(表側)をおすすめします。
裏側矯正は、目立つ装置を避けたい方に
ただし、噛み合わせによっては適応できない場合もあります。また、口を大きく開けられない方、長時間開けていることが辛い方は、裏側矯正は難しいでしょう。

マウスピース矯正が適している人

マウスピース矯正が適応できる噛み合わせにはいくつか条件があります。
具体的には、
1)奥歯がきちんと噛み合っていること
2)でこぼこが軽度であること
3)口元・横顔のバランスが取れていること
です。
抜歯が必要な症例でもマウスピースで可能な場合もありますが,難しい場合はワイヤーでのリカバリーが必要なこともあります。一般的にはワイヤー矯正と比べて適応できる症例が限られるため、本当にマウスピース矯正が適しているか、担当医と十分に相談することが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は数ある矯正治療法の中から、ワイヤー矯正(表側)、裏側矯正(舌側矯正/リンガル矯正)、マウスピース矯正について解説しました。それぞれの治療法にメリットとデメリットがあり、矯正治療を行う際は、ご自分の歯並び・噛み合わせを治すのにどの治療法が適切か十分に検討することが大切です。当院では無料矯正相談を実施しておりますので、矯正治療に少しでも興味がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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歯の矯正を行う前に知っておきたいこと

「歯並びがでこぼこ」「出っ歯」「受け口」「口元が突き出ている」…

みなさんは自分の歯並び・口元に満足していますか?欧米の方に比べ、日本人は顎が小さく歯並びが悪くなる傾向にあります。多くの方が歯並びに関することで何かしらのお悩みを抱えているのではないでしょうか。そして、一度は矯正治療について考えたことがあるのではないでしょうか。

今回は,歯ならびにコンプレックスを感じている方、よりきれいな口元を手に入れたい方、矯正治療に興味がある方に向けて、矯正治療を考える上でのメリット、デメリットについて解説したいと思います。

矯正歯科治療とは

矯正歯科治療とは、悪い歯並びや噛み合わせの状態を、「上下の歯がきちんと噛み合い」、「乱れのないきれいな歯並びにする」歯科治療です。ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置をつけて、歯やあごの骨に力を加え、ゆっくり歯を動かすことで歯並びと噛み合わせを整えていきます。虫歯がある場合や,被せ物を作り替える必要がある場合を除いて,歯を削って「クラウン」や「セラミック」,「差し歯」をいれることは基本的にはありません(セラミックを入れる治療は、専門的には「補綴治療:被せ物の治療」に分類されるため、セラミック矯正は厳密には補綴治療に分類されます)。

一般的な歯科治療は、虫歯や歯の喪失などによって悪くなってしまった噛み合わせを「元の状態に回復させる」治療がメインとなりますが、矯正歯科治療は現在のお口の環境から「より良い状態を創造する」という観点から、歯科治療の中でも特殊性の強い治療です。今回の投稿によって少しでも矯正歯科治療について知っていただけたらと思います。

矯正治療を行うメリット

矯正治療を行うメリットについて,いくつかご紹介します。

歯並びを美しくすることで自信が持てるようになる

矯正治療の最大のメリットは見た目がきれいになり、歯ならびが悪いというコンプレックスが解消されることです。

「でこぼこのせいでうまく笑えない」、「笑う時に口元を隠すことが癖になっている」、「出っ歯」、「口元が突き出ている」、「受け口」……。歯ならびが悪いことで生じる見た目のコンプレックスは多々あります。矯正治療によって歯ならびが整うことに加えて、口元のバランスが良くなりきれいな横顔を手に入れることができます。きれいな歯ならびや、バランスの取れた口元・横顔を手に入れることで、「自分に自信を持てるようになった」、「自然に笑えるようになった」、「考え方が前向きになった」など、内面的な部分でもプラスの変化が現れたというご意見も多くあります。実際、治療のための資料として笑顔の写真を撮影していますが、治療前のスマイル写真は自信がなさそうな、不安そうな患者さんもいらっしゃいます。しかし、治療後のスマイル写真ではほぼすべての患者さんが自信に満ちたきれいな笑顔をされており,撮影している私たちもつい嬉しくなります。

将来的な虫歯や歯周病のリスクを減らし、歯の寿命を延ばすことができる

歯ならびが不揃いででこぼこがあると、それだけ日々の歯磨きが難しくなります。矯正治療によって歯ならびがよくなることで、歯ブラシやデンタルフロスを使用したセルフケアが行いやすくなり、虫歯・歯周病の予防につながります。また、歯並びの悪さから噛み合わせのバランスが崩れてしまうと、一部の歯に強く負担がかかり、歯が割れる原因となることもあります。割れてしまった歯は保存が難しく、割れる位置によってはすぐに抜歯が必要です。矯正治療を行い,全ての歯がバランスよく噛めるように歯並びを整えることで、歯の寿命が延びることにもつながります。見た目の問題だけでなく、安定した噛み合わせの獲得も矯正治療の大きな目的の一つです。

噛み合わせが良くなることで,食生活が改善する

噛み合わせが悪いと食生活にも悪影響が出ます。前歯で噛み切れないから丸のみしてしまう、奥歯でうまく噛むことができないから一回の食事に時間がかかってしまう、ということもあります。矯正治療によって前歯・奥歯ともにバランスのとれた噛み合わせを手に入れることで、好きなものをよりおいしく食べられるようになります。また、噛み合わせが改善して効率よく食べ物を咀嚼できることで、胃腸の負担も減り,ダイエットや将来的な体の健康にも繋がります。

発音が良くなる

歯ならびが悪いと、歯の隙間から息が漏れてしまうことで発音が不明瞭になることや、舌がスムーズに動かせないことで、いわゆる「滑舌が悪い」状態となり,自分でも気づかないところで聞き取りづらいと思われていることがあります。特に、「サ行」「タ行」「ラ行」は滑舌の影響を強く受けると言われています。矯正治療によって歯ならびが整うことで発音や滑舌の改善が期待できます。ただし、発音・滑舌が悪い状態が長期間にわたっている場合、舌や唇を動かす際の悪い癖が残っている場合が多いため、正しい動きを獲得するためには舌・唇のトレーニングが必須となります。当院では矯正治療の際、歯ならびの改善と並行して唇や舌のトレーニングも行いますので、ご安心ください。

矯正治療を行うデメリット

矯正治療のデメリットについては,以下の通り,矯正治療中のデメリットと,矯正治療後に起こるデメリットに分けられます。

矯正治療中のデメリット

矯正装置を着けて,お口の中の環境が変わることで,以下のようなトラブルが起こることがあります。

矯正治療中の痛みや食事制限

矯正治療は、矯正装置を通じて歯やあごに力(矯正力)を加え、硬い骨の中で歯を動かす治療です。そのため、矯正治療中は歯が動く際の痛みや違和感はどうしても避けられませんが、その痛み・違和感も治療後2-3日をピークに徐々に減少していきます。調整の際に、柔らかいワイヤーや細いワイヤーを用いるなどで、患者さんの痛みに配慮することができます。

また矯正治療中は食事に多少の制限があります。できるだけ控えていただきたいものは、ガム・キャラメル等の粘着性の強い食べ物です。矯正装置に絡まったり、矯正装置が外れてしまったりする原因となります。また、食べ方を工夫していただきたいものもあります。硬いもの(おせんべいやナッツなど)は噛んだ衝撃で装置が外れてしまうことがあります。線維性の強い野菜や肉なども装置に引っ掛かりやすいため、小さく切って奥歯でよく噛んで食べるなどの工夫が必要です。

その他に、矯正治療中に生じるトラブルの一つとして、口内炎ができやすくなることがあります。特に矯正装置をつけたばかりの時期は、お口の環境が大きく変わることで口内炎に悩まされることが多くなるかもしれません。その場合は粘膜保護用のワックスをお渡ししています。矯正装置に慣れてくると、自然と口内炎ができにくくなります。

装置装着中に虫歯になりやすくなる

ワイヤー矯正の場合、患者さん自身で矯正装置を取り外すことができないため、歯磨きの難易度が格段に上がります。矯正装置をつける前と変わらないブラッシングでは歯磨きが不十分となり、虫歯のリスクが上がってしまいます。

マウスピース矯正の場合、装置を取り外せるため歯磨きは比較的簡単です。ただし、歯が完全に覆われるマウスピースでは、不十分な歯磨きのままでは装置の中で汚れが停滞し、虫歯の原因となります。

矯正治療前に歯ブラシ指導を受けることや,矯正治療中にも定期的に歯ブラシの状況と虫歯のチェックを繰り返し行うことがとても重要です。せっかく歯並びがキレイになったのに、虫歯ができてしまって後悔することがないよう、日々のケアを頑張りましょう。

矯正治療後に起こるデメリット

歯根吸収と歯肉退縮のリスク

歯は歯茎と顎の骨(歯槽骨)によって支えられています。矯正装置を介して歯に矯正力が加わると、歯の周囲に歯槽骨の吸収と添加が起こることで歯が動いていきます。過度な矯正力を加えた時や、常に舌で歯を押す癖がある方の場合、歯の根っこ(歯根)が変形したり、短くなったりする「歯根吸収」が起こるリスクがあります。
また、矯正治療後に歯茎のラインが下がり、歯が長く見えてしまう「歯肉退縮」のリスクもあります。全ての患者さんに必ず起こるわけではなく、いくつかの原因があります。
一つ目の原因は歯周病です。歯周病によって骨が痩せてしまった歯に矯正力が加わると、骨の吸収がさらに進み、周囲の歯茎も下がってしまいます。このような事態を防ぐためには、矯正治療前に歯周病のチェックを行う必要があります。

次に、元々の歯並びが重度のでこぼこの場合です。歯並びがでこぼこだと、歯槽骨の形も不揃いな状態です。矯正治療で歯並びを整える際、歯の動きに歯槽骨の変化が追い付けず、それに伴い歯肉が下がってしまう傾向があります。歯をゆっくり動かすことである程度は防止できますが、多少の歯肉退縮は避けられない可能性が高いです。

また、歯槽骨がないところに歯を並べようとした場合にも歯肉退縮が起こります。歯槽骨から逸脱した位置に歯を並べると、歯は骨から飛び出した状態となります。歯肉は歯槽骨を覆うものであるため、歯槽骨からはみ出した歯には歯肉がついていかず、歯根が露出した状態となってしまいます。歯とあごの大きさのバランスを考慮せず、無理やり非抜歯で矯正治療を行った際にこのような歯肉退縮が起こりやすい傾向にあるため、矯正治療開始前の十分な検査・診断が重要だと言えます。

噛み合わせが不安定になってしまう

機能的な噛み合わせのためには、歯並びを整えるだけでなく、その新しい歯並びが顎の関節とその周りの筋肉と調和していることが重要です。そのバランスがうまく取れていないと,歯並びはキレイなのに食事中に違和感が出る、顎関節症の原因になる,といったリスクが残ってしまいます。歯の動かし方や仕上がりの状態に無理があると、このような状態が起きやすいと言われています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は,歯ならびにコンプレックスを感じている方、よりきれいな口元を手に入れたい方、矯正治療に興味がある方に向けて、矯正治療を考える上でのメリット、デメリットについて解説しました。

一般的な歯科治療は、虫歯や歯の喪失などによって悪くなってしまった噛み合わせを「元の状態に回復させる」治療がメインですが、矯正歯科治療は現在のお口の環境から「より良い状態を創造する」という観点から、歯科治療の中でも特殊性の強い治療です。矯正治療によって「良い歯並びを手に入れる」ことのデメリットは全くありません。審美性や食事、お口の中の健康に関するメリットばかりです。また今回挙げたデメリット・トラブルについても、治療前のカウンセリングと診断によって避けられる物がほとんどです。「安さ」や「手軽さ」だけでなく、後悔しないためにも、本当のお口の健康を考えた矯正治療を提案してくれる歯科医院を選ぶようにしましょう。

今回の投稿によって少しでも矯正歯科治療について知っていただけたらと思います。当院では無料のカウンセリングを行っております。ご自分の歯ならび・噛み合わせについて、少しでも気になることがありましたら、なんでもご相談ください。

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インプラント治療を選択するときに知っておきたいこと

「抜歯が必要と言われたけど,その後の治療法はどう選べば良いの?」
「結局,インプラントがベストな治療法なの?」

突然ですが,歯が無くなってしまった部分に対する治療法で,すべての方に当てはまるベストな選択肢というのは存在しません。身長やお顔の作りが人それぞれ違うように,歯並びや噛み合わせ,噛む力など,お口の中の環境もひとりひとり異なります。また,歯を無くした部分の歯茎の状態や,隣の歯の状態なども,治療方針を決める上で重要になってくるため,治療前の検査や診断がとても重要です。

しかし,治療方法を選ぶ上で,まずは選択肢について詳しく知っておくことで,歯科医師からの説明をよりスムーズにご理解いただけるようになると思います。
ここでは,「インプラント治療を選んで後悔した」「インプラント治療を選ばなくて後悔した」ということが無いように,インプラント治療について,メリット・デメリットや歯科医院選びのポイントを解説したいと思います。

歯を失った場合の選択肢について

歯を失った後の治療は,主に“インプラント”・“入れ歯”・“ブリッジ” “歯の移植”という選択肢があります。言葉について一度は聞いたことがあるかもしれませんが,それぞれの違いについて詳しくは説明できる方は少ないと思います。選択肢を知ったうえで,まずはそれぞれについてある程度の知識が無いと正しい判断ができないでしょう。

ちなみに,“何もしない”という選択肢もありますが,“何もしない”という選択肢を選んだ際のデメリットについては,以前の記事「インプラント治療・入れ歯・ブリッジなど,歯がない部分への噛み合わせを回復する治療をおこなう前に知っておきたいこと」でご紹介していますのでぜひご一読ください。

インプラント治療とは

インプラントとは,歯が無くなった部分の歯茎と骨の内側に人工歯根と呼ばれる土台を埋め込みます。その上にセラミックなどでできた人工歯を被せることで,咀嚼機能や審美性を回復する治療法です。見た目や噛み心地が最も自分の歯と近い治療法と言われています。

もちろんお口の中の状況によるため一括りにはできませんが,当院では歯が無い部分に対しての治療方法として,インプラントを選択した場合に患者さんが受けるメリットが最も多いと考えており,一番オススメする治療法です。

インプラント治療のメリット

インプラント治療には以下のようなメリットがあります。

自然な見た目を手に入れることで,笑顔に自信が持てる

インプラントでは歯茎に人工歯根を埋め込み,その上に人工歯を被せることで見た目を回復します。そのため,ご自身の天然の歯と同じように,まるで歯茎から生えているかのような見た目を取り戻すことができます。他の治療法では,歯茎の上に歯が乗っかるような見た目になってしまうため,このようにして自然な見た目を回復できるのはインプラントだけのメリットです。

またインプラントの人工歯にはセラミックを使用している場合が多く,自然な歯の色を再現することができます。インプラントの隣がご自身の歯の場合でも,ぱっと見ただけでは区別がつかないくらいに見た目を回復することも可能で,最も審美的な治療方法と言えるでしょう。

噛み合わせを取り戻すことで,食生活を楽しむことができる

インプラントの人工歯は,直接骨に固定をされるため,食事のときにも力を発揮します。これまでの調査で,インプラントの咀嚼能率(食べ物を細かくする能力)はご自身の歯の90%程度と言われており,この数字からも自分の歯と同じように噛めることが分かります。さらに,硬い物が噛みやすいだけではなく,骨に直接刺激が加わることから噛み心地も自分の歯と同じように感じることが可能です。

食べられる物のラインナップが増えて,咀嚼能力が回復するメリットは,日々のお食事を楽しめるだけではありません。食べ物を消化しやすくなることで,胃腸の負担が減ったり,栄養状態が改善したりすることが期待できます。さらに,最近では「噛めない」「食べられない」ことが,フレイル(Frailty・虚弱)という加齢に伴う心身機能の低下状態に繋がることが注目されています。インプラントによる食生活の改善には,健康寿命を延ばすことにも繋がるかもしれません。

周りの歯の負担を減らすことで,自分の歯の寿命が長持ちする

インプラント治療では基本的に隣の歯を削ることがありません。一方,ブリッジでは土台となる歯(支台歯)を削る必要があり,また部分入れ歯でもバネをかける歯(鉤歯)に対して,バネがかかりやすいように形を整えるため歯を削ることがあります。歯が無い部分の隣が手付かずのご自身の歯の場合,全く歯を削らないインプラント治療が適していると言えるでしょう。

またブリッジや入れ歯では,支台歯や鉤歯に人工歯分の噛み合わせの力がかかるようになるため,隣の歯の負担が増えてしまいます。インプラントでは,骨が直接力を受けるため隣の歯の負担が増えることはありません。歯の負担が増えることで,歯周病や歯が割れるリスクが高まると言われています。ご自身の歯の寿命を考えると,インプラントが第一選択になるでしょう。

他の治療法に比べて,長く安定した噛み合わせが期待できる

インプラント治療の10年生存率(治療後にお口の中に残っている確率)は,世界中の多くの論文で90~95%と言われています。メンテナンスやセルフケアが上手に行われていると, 20年以上トラブルなく過ごすことができるケースもたくさんあります。他の治療法ではこれより低いものがほとんどで,このことから,インプラント治療が最も長持ちして,再治療が少ない方法と言えます。

他にも,骨というのはある程度の力の刺激が無いと萎縮して痩せてしまいます。インプラントでは噛み合わせの力が顎の骨に直接かかるため,歯が無い部分やその周りの骨が痩せにくいという特徴があります。また噛み合わせの力が維持できることから,噛む筋肉が衰えることも予防できます。顎の骨と筋肉が維持できることから,健康的な噛み合わせを長期間維持することができます。

インプラント治療のデメリット

インプラントには他の治療方法にはないメリットが多くありますが,もちろん以下のようなデメリットも存在します。

手術リスクが伴う

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込むという特徴から,外科的な手術が避けることはできません。骨や歯茎の量が不足している場合には,追加の処置を行うことが必要となる場合もあります。手術するうえで,術後の出血や感染,神経障害などの合併症が起こるリスクも伴います。また,持病や飲んでいるお薬によっては手術が難しい場合もあるため,必要な場合には歯科医師と主治医の先生とでやり取りが必要な場合もあります。

治療期間が長期間にわたる

インプラントの手術後には,人工歯根として骨に入る部分(インプラント体と言います)が骨と結合するための治癒期間が必要です。この,インプラント体と骨との結合をオッセオインテグレーションと言いますが,通常,オッセオインテグレーションを獲得するためには2~3か月ほど待つことが推奨されています。また抜歯から必要な場合には,抜歯した周りの骨が回復する期間も必要となるため,抜歯からインプラント治療終了まで半年以上かかることもあります。ケースによっては,抜歯とインプラント手術を同時に行うことや,インプラント手術後すぐに仮歯を入れることも可能で,治療期間を短くすることができる場合もあります。

費用が高額になりやすい

インプラント治療は,原則として健康保険の対象とならないため,他の選択肢と比較して治療費が高額になります。治療だけでなく,メンテナンスにかかる費用なども事前に把握しておく必要があるでしょう。インプラント治療は医療費控除の対象となるため,気になる方はぜひ担当医にご相談ください。

セルフケアと定期的なメンテナンスが必要

またインプラントはうまくいけば10年や20年と長持ちする治療ですが,そのためには丁寧なセルフケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。それを怠ると,インプラントの周囲の歯茎に炎症が起きてしまい,インプラント周囲炎という,歯周病のような状態になってしまいます。インプラント周囲炎が進行してしまうと,インプラント周囲の歯茎から膿が出たり,インプラントが揺れてきたりして,最悪の場合はインプラントの撤去が必要となるため,適切な維持管理が必要です。

インプラントする歯科医院を選ぶポイント

インプラントと一言でいっても,歯科医院によって取り扱いのインプラントメーカーが異なることがあります。メーカーごとに使用するパーツが違うため,治療中はもちろん治療後のメンテナンス中でも,転院が難しいことがあります。そのため,最初の歯科医院選びがとても重要です。ここでは,インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶためのポイントを簡潔にご紹介します。

担当医の経験と技術がしっかりとしている

インプラント治療は,手術などの外科処置から,噛み合わせの調整まで,幅広い知識と専門的な技術が必要です。担当医の専門や経歴などに加えて,最新の知識にアップデートされているかも重要ですが,なかなか判断が難しいところです。まずは対応が丁寧で説明が分かりやすいかどうか,一度お話を聞いてみてください。

治療前の説明とカウンセリングを行ってくれる

インプラントの良いところばかりを説明するのではなく,まずはご自身のお口の中にどんな問題点があるか,さらに治療方針の選択肢やそれぞれのメリット・デメリット,期間や費用について,資料に基づいて説明してもらえると理解が深まります。複数の治療方針を提示して,予算などのご希望に沿った対応をしてくれる医院が望ましいでしょう。可能であれば,プライバシーに配慮されたカウンセリングルームで,時間をかけて説明してもらえると安心です。

インプラントを行うための設備と環境が整っている

インプラント治療を行う前に,骨の量だけでなく血管や神経の走行も診断できるCT撮影は必須となります。現在では,CT撮影なしにインプラント手術を行うことはまずあり得ません。可能であれば,歯が無い部分だけでなく,お口の中全体が撮影できる機種が望ましいと思います。他にも,個室の手術室や,ヨーロッパ基準のクラスB滅菌機が完備されていると衛生面でも心配いりません。

メンテナンスも含めたアフターケアが整っている

インプラントの長期間の安定のためにはセルフケアが欠かせません。そのため,手術前から歯ブラシ指導を受けて,適切なセルフケアの習慣を身に着ける必要があります。セルフケアの説明なく,いきなり手術を行う医院は注意が必要かもしれません。担当の歯科衛生士がプロフェッショナルケアを行ってくれるかどうかや,万が一のトラブルのためにも保証内容についても確認をしましょう。

リスクのある治療だからこそ,知識と経験のある担当医のもとで,CTなどの精密機器を使用して診断をしっかりと行い,分かりやすいカウンセリングを受けてから納得の上で治療に臨むことが重要です。少しでも不安がある場合は,セカンドオピニオンを受けるのも患者さんの権利です。大切なご自身の体の理解を深めるためにも,専門医によるセカンドオピニオンをぜひご利用ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はインプラント治療について,メリットやデメリット,また歯科医院選びのポイントについて解説しました。最初に記載したとおり,インプラント治療は患者さんに多くのメリットをもたらす良い治療法です。しかし,そのメリットを受けるためには費用や期間が必要ですし,デメリットやリスクも必ず伴います。デメリットやリスクを最小にして,最大限のメリットを受けるために,信頼できる歯医者さんの元でまずはカウンセリングからご相談ください。

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抜歯前後に知っておきたいこと

「毎日丁寧に歯を磨いていたはずなのに…」
「定期検診に通っていたはずなのに…」

歯科医師から「抜歯が必要です」と言われたらとてもショックですよね。もちろん歯科医師としても,毎日歯を残すための最善の治療を行っていますですが,それでも抜歯が避けられないこともあると思います。

「抜歯が必要と言われて歯医者さんに通うのをやめてしまった」「痛みや腫れがあるけど,抜歯と言われるのが怖くて通院していない」もしくは,「歯が抜けた状態を放置している」という方,「入れ歯を作ったけどあまり使っていない」「入れ歯に不満があって使用していない」という方や,「インプラントについて気にはなっているけど,なんとなく気が引けるのでそのままにしている」「インプラントをやらなきゃよかったと後悔したくない」という方も多いのではないでしょうか。

今回は,抜歯と言われてその後の治療について不安がある方,または歯がない部分にインプラント治療や入れ歯治療などの咬合(噛み合わせ)回復治療を考えている方へ,治療で後悔しないために,治療前に選択肢を考える上でのポイントについて解説したいと思います。

抜歯が必要な理由について理解する

歯医者さんから「抜歯が必要です」と言われたらショックですよね。突然のことで予想していなかったことも,自覚症状があって薄々勘付いていたということもあるかと思います。もちろん歯科医師が患者さんの健康を考えての判断ですが,「なんとなく抜歯されてしまった」「抜歯が嫌で歯科医院に通うのをやめた」などといったことが無いよう,患者さん自身もお口の中のことと抜歯する理由をしっかりと把握して治療に臨む必要があります。

抜歯が必要な理由と,抜かなくてすむ方法がないかを調べる

まず初めに,その歯は本当に抜歯が必要なのか,その理由についてご存知でしょうか。

主な抜歯の理由としては,

  • 歯周病で歯を支える骨にまで感染が起きており,歯の動揺(揺れ)が大きい
  • 虫歯が深く,歯茎や骨の下まで進行しており,これ以上の処置ができない
  • 根の先の炎症が大きい,もしくは根にヒビが入って割れてしまっている
  • 親知らずが周りの歯茎や,他の歯に悪影響を与えている
  • 矯正治療前のスペース確保のため

などが挙げられます。

もちろん,歯科医師から「抜歯しかない」と言われているのであれば,保存がかなり難しい状態にはあるのだと思います。しかし,抜歯の判断はとても難しく,歯科医師10人中10人が抜歯と判断する場合もありますが,歯科医師によって残す・残さないの基準が異なることもあります。本当に抜歯しなくてはならないときもありますし,歯科医院の規模や歯科医師の技術的に保存が難しいと判断されている場合や,または時間とお金をかけて歯を保存するよりも抜歯した方が患者さんのメリットが大きい場合もあります。

できれば,レントゲン写真や口腔内写真などの資料を基に,抜歯の必要性について納得できるまで丁寧に説明してもらいましょう。歯の状態によっては,抜歯以外の方法にチャレンジできるかもしれません。当たり前ですが,一度抜いた歯は元には戻せません。「抜歯をやらなきゃよかった」とならないように,抜歯の必要性について理解できていない,もしくは納得できない場合は,もう一度詳しい説明をお願いするか,セカンドオピニオンを受けるのも良いでしょう。

抜歯を行うメリット

「抜歯するメリット」というと不思議に聞こえるかもしれませんが,本当に抜歯が必要な歯をそのままにしておくことで以下のようなデメリットが生じることがあります。

痛みや腫れが再発するリスクがある

虫歯を放置していると,神経が壊死して徐々に痛みを感じなくなることがあります。また親知らずや歯周病が原因の炎症の場合は,体の免疫力によって炎症が一時的に治まることがあります。このようなときは,「治った」のではなく「症状が消えた」だけです。治療しないままでいると,痛みや腫れが再発する可能性があります。

痛みや腫れが強い状態で歯科医院を受診されても,そのような場合は応急処置しかできないこともあり,お困りの状態が長く続いてしまいます。さらに進行すると,体の中に細菌が蔓延することで発熱や呼吸困難が起こってしまい入院が必要になるといったリスクもあります。症状が無くなったからと言って,自己判断での放置はとても危険です。

他の歯が悪影響を受けてしまう

虫歯も歯周病もお口の中の細菌が原因となり起きる疾患です。治療せずそのままにしておくことは,お口の中に常に虫歯菌や歯周病菌が大量発生・繁殖している状態です。そのままだと元々問題があった歯に加えて,隣の歯が悪影響を受けてしまうことで,治療期間が長引くだけでなく,最悪の場合他の歯も抜歯になってしまう恐れがあります。

噛み合わせが乱れる

虫歯で歯に穴が開いていたり,歯周病でグラグラしていたりする歯があると,隣の歯や噛み合わせる反対側の歯が移動してしまったり,無意識にその部分で噛むのを避けることで噛み合わせが乱れてしまいます。噛み合わせの乱れを放置してしまうと,ただ噛みづらいだけでなく,お口の中にも全身的にも様々な不具合が出てきます。抜歯をすることで乱れを完全に治せるわけではありませんが,原因を取り除いてから噛み合わせを回復する必要があります。

歯を支える骨が吸収してしまう

歯の周りの骨は歯槽骨(しそうこつ)といって,歯を支える役割を担っています。歯周病が進行すると歯がグラグラしてくるのは,歯周病菌によってこの歯槽骨が溶かされてしまい,歯をしっかりと支えることができなくなるためです。歯周病だけでなく,虫歯を放置することでも根の炎症から歯槽骨の吸収が起こります。「どうせ歯を抜くなら,歯槽骨が無くなっても問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが,抜歯後の噛み合わせの回復のためには歯槽骨がとても重要です。入れ歯でもブリッジでも,インプラントを選ばれた場合でも,歯槽骨の吸収が大きいと治療が難しくなり使用感が悪くなることや,咬合回復治療を行うために追加の処置が必要となる場合があります。

歯科医師としても,毎日のように歯を保存する治療を行っているので,患者さんの大切な歯が保存できない場合はとてもショックを感じます。しかし,歯を1本でも多く保存することも大切ですが,それ以上に,患者さんの生活をより良くすることを重要視しています。歯を残すことで,患者さんが将来的に不利益を被ることが無いよう,総合的な目線で判断をしていることをぜひ知っておいてください。

「抜歯するメリット」とは,上記のデメリットを回避し,患者さんが困る期間をできるだけ少なくして,次の治療へスムーズに入る準備ができることです。歯を抜きたくない方も,無理に歯を残したことで後悔することがないよう,ぜひ一度歯医者さんに相談をしてみてください。

抜歯後に,咬合回復治療が必要な理由

親知らずの抜歯や,矯正治療のスペース確保のための抜歯を除いて,抜歯した後には基本的に咬合回復治療が必要となります。「見える場所じゃない」「1本くらい歯が無くても食事はできるからそんなに困っていない」と思っている方も,そのままにしておくリスクをご存知でしょうか?

歯がない状態を放置すると,お口の中と全身に起こる変化

歯がない状態をそのまま放置することで,お口の中だけではなく全身的に悪影響があります。

お口の中への影響

  • 歯並びが悪くなる
  • 食べ物を咀嚼しづらくなる
  • 発音が悪くなる
  • 口臭がする
  • 噛み合わせの乱れが進行する

大人になってからでも,歯の位置やあごの骨は微妙に変化すると言われています。歯が無くなると,その空いたスペースを体が埋めようとして,隣の歯や反対側の歯が少しずつ移動して歯並びが悪くなってしまいます。結果的に,抜けたところだけでなく他の場所でも物が食べづらくなってしまいます。「抜いた直後はそこまで不便を感じなかったけど,最近食べづらい気がする」と感じられている方は噛み合わせが乱れているサインかもしれません。食べられる物に制限が出たり,硬いものを避けてしまったり,食事が楽しめなくなります。

また歯が抜けて噛み合わせが悪くなった結果,空気が漏れたり舌の動きが悪くなったりすることで,聞き取りづらい発音になってしまうこともあります。ご自身ではちゃんと喋っているつもりでも,周りの方は聞き取りづらいと感じているかもしれません。
乱れた歯並びでは,食べかすや磨き残しが増えてしまい,さらに虫歯や歯周病が進行しやすくなるだけでなく,口臭の原因にもなります。
このようにしてお口の中の環境が悪化し,噛み合わせの乱れがどんどん進む原因となるのです。

全身的な影響

  • 顔の形が変わって老けた見た目になる
  • 胃腸に負担がかかる
  • 顎関節症が起こる
  • 肩こりの原因になる
  • 認知症のリスクが高くなる

前歯が無い状態だと,笑った時の印象がとても変わってしまいます。それだけでなく,奥歯が無くなって噛み合わせが悪化することでも,「頬がこける」「唇が薄くなる」「ほうれい線が目立つ」などお顔が老けた印象になってしまうこともあります。
また,物が食べづらくなることは述べましたが,十分に噛まずに飲み込むことで胃腸に負担がかかってしまいます。奥歯2本無くなっただけでも,咀嚼効率(食べ物をすり潰す能力)は半分以下に低下してしまうという報告もあるため,自分が思っているよりも体に負担をかけているかもしれません。

さらにうまく食いしばれないことで,顎や首,肩の筋肉にも負担や疲労感が溜まってしまい,さらに進行すると顎関節の変形の原因にもなります。
さらに,食べ物を咀嚼することで脳に適度な刺激がいきますが,歯が無い状態のまま食事することで脳への刺激が少なくなり認知症になるリスクが上がると言われています。実際に,残っている歯の本数が少なくなることによって認知症発症リスクが上昇し,また歯が少なくても入れ歯を使用することで認知症への予防効果があると示した研究もあります。

歯がなくなった部分に咬合回復治療を行うメリット

抜歯後に咬合回復治療を行うことで,咀嚼機能・発音機能・審美性の回復ができ,お口の中や全身的な悪影響を回避することができます。

  • 咀嚼機能の回復によって,食べられる物が増えることで,食事を楽しむことができる
  • 発音や構音機能の回復によって,家族や友人との会話を楽しむことができる
  • 審美性の回復によって,見た目を気にすることがなくなり,人前での笑顔が増える

噛み合わせ回復治療を行うことの直接的なメリットとしては,食事や会話,見た目への不安をなくすことができます。特に,食事や会話は毎日行うことですし,違和感や不具合を覚えながらだとストレスが溜まってしまいます。さらに見た目に心配があると,食事も会話も満喫ことができません。しっかりと治療を行って不安を解消することで,QOL(Quality of Life:生活の質)を上げて,人生をより楽しむことができるようになります。

また「噛めない」「噛みづらい」ことをそのままにしてしまうことで,知らず知らずのうちにお口全体の噛む機能が低下するだけでなく,咀嚼による脳への刺激が少なくなることや,また外出を控えるなど社会との関りが低下してしまうことがあります。このような状態をさらに放置すると,寝たきりや認知症の発症にも繋がることが近年注目されています。人生をいま楽しむだけでなく,人生を“長く”楽しむためにも,お口の中の心配事はぜひ歯医者さんに相談してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は抜歯をしたくない方や抜歯後の治療に不安がある方に向けて,抜歯前や,抜歯後の咬合回復治療を行う前に,知っておいてもらいたいポイントについて解説しました。咬合回復治療の選択肢はとても多くありますが,まずは歯が抜けたままのデメリットと治療を行うメリットについて少しでも知っていただければと思います。

ちなみに,抜歯と言われて一番ショックなのはもちろん患者さんですが,歯科医師本人も歯の大切さを人一倍知っているからこそ,とても悩んでから抜歯という診断をお伝えしています。大切な患者さんに,「抜歯や治療をやらなきゃよかった」と感じていただきたくないと日々思っています。後悔する前に,ご納得がいくまでなんでもご相談ください。

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